税金滞納にも時効はあり、5年で成立すると言われています。
しかし実際には、税務署や自治体が税金未納のまま滞納状態を続けることはなく、時効の進行を妨げられます。
そのため税金滞納の時効成立は不可能といえますが、未納状態を続けていても延滞税が発生し続けるだけでなく、いずれ財産を差し押さえられてしまいます。
そこで、税金滞納の時効や差押え回避に必要なこと、解消できない場合の対処法について解説していきます。
滞納とは?税金を納めないとどうなるのか対処法・相談先を徹底解説
目次
税金滞納の時効
税金滞納にも時効があり、支払期限から5年で時効が成立します。
民法にも、国税の徴収権は法定納期限から5年行使しないことで時効により消滅すると記載されています。
しかし実際には、税金を滞納したまま放置しても、時効が成立することは現実的にほぼ不可能といえます。
その理由として、税務署や自治体などが税金未納の状態を知っていながら、5年間放置するとは考えられないからです。
さらに消滅時効は、次の2つによって成立しません。
時効の完成猶予 | 時効完成が一定期間猶予されること |
時効の更新 | 時効期間がリセットされ再スタートすること |
時効は、以下の事由により完成まで引き延ばされます。
裁判上の請求(訴えの提起) 強制執行・競売 仮差押え 裁判外の請求(催告) 協議を行う旨の合意 天災 |
そして債権の消滅時効期間は、
- 権利行使できることを知ってから5年
- 権利行使できるときから10年
のいずれか早いタイミングとなります。
この期間において次の事由があれば更新され、時効期間はリセットされます。
裁判上の請求(訴えの提起) 強制執行・競売 承認 |
仮に引っ越しをして逃げたとしても、支払義務は残るため時効を迎えることは難しく、免れることはできないと考えられます。
税金滞納の措置
確定申告書の提出期限である3月15日は、税金の法定納付期限日と定められています。
法定納付期限日を過ぎて、税金を滞納した場合の措置は以下の3つです。
- 延滞税の発生
- 財産の差押え
- 事故情報の登録
それぞれ説明します。
延滞税の発生
法定納付期限日までに税金を完納していない場合、延滞税がかかります。
延滞税がかかるのは下記の3つのケースなどです。
- 法定期限日までに申告などで確定した税額を完納していない場合
- 期限後に申告書または修正申告書を提出し、納付しなければならない税額がある場合
- 更生もしくは決定の処分を受けて納付しなければいけない税額がある場合
なお、納付期限はそれぞれが異なります。
2は申告書の提出日、3は更生通知書の発行日から1か月後です。
納付期限からどのくらい延滞しているのか、その期間によって、延滞税の割合が以下のとおり異なります。
- 納付期限日の翌月から2か月以内に完納した場合、年率7.3%
- 納付期限日の翌月から2か月を超えて完納した場合、年率14.6%
財産の差押え
税金滞納により、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。
財産の差押えは、以下の流れで手続が進みます。
- 督促状・催告書による請求
- 差押え予告書による通知
- 財産調査の実施
- 財産の差押え
それぞれ説明します。
督促状・催告書による請求
税金の支払いを納期限より1日でも過ぎれば、滞納として扱われることとなり、督促状や催告書が届きます。
税金の滞納に関しては、納期限後20日以内に督促状を発送しなければならないと定められているからです。
また、本来納めるべき税金だけでなく、延滞税もペナルティとして課せられます。
延滞税は納税期限の翌日から発生しますが、2か月滞納すると税率が高くなるため注意しましょう。
差押え予告書による通知
督促状や催告書が届いても税金を納めないまま放置すると、差押え予告書による通知が届きます。
税金は、督促状を発送した日から10日を過ぎたとき、訴訟による勝訴判決などない状態でも財産を差し押えることができます。
そのため差押えを行うことを予告する通知が届き、最終的には財産を自由に処分することができなくなってしまいます。
また、時効の完成猶予と時効の更新に該当する事由に強制執行・競売が含まれるため、時効期間はリセットされます。
財産調査の実施
差押え予告書による通知があっても、税金の支払いがない場合には財産調査が行われます。
財産調査は、税金の滞納者の勤務先や、口座・不動産などの資産を調べることです。
個人情報保護法に抵触する行為ではないため、徹底的に財産の有無を調査されると留意しておく必要があります。
財産の差押え
財産調査により差押え対象となる財産が見つかった場合、強制執行による差押えが行われます。
多くは給与や預金口座が差押え対象といえますが、高額な税金滞納においては持ち家や自動車なども対象となります。
税金は裁判所による手続不要で強制執行が可能であるため、予告から差押えまでの期間が短く、具体的な実行日付などは伝えられないまま突然財産を持っていかれる恐れがあると留意しておきましょう。
信用力の低下
税金滞納により、未納状況が納税証明書に記載されてしまうため、審査に通りにくくなります。
金融機関の融資を受けるときに納税証明書の提出を求められるのは、滞納している税金があると、債権回収ができなくなるからです。
借入れの返済が滞ったとき、滞納した税金もあれば、優先して徴収されます。
税金はあらゆる債権の中で最も優先順位が高いため、滞納があればローンなどの審査には通りにくくなるでしょう。
税金滞納を解消できない場合の対処法
税金を滞納すると、延滞税の支払いが必要になるだけではなく、督促状が届きます。
放置してしまうと、いずれ財産を差押えられるため、すぐに対応することが必要です。
主に税金滞納を解消できない場合の対処法として、次の3つが挙げられます。
- 税務署・自治体に相談する
- 減免・猶予の申請をする
- 納税資金を調達する
それぞれ説明します。
税務署・自治体に相談する
税金滞納を解消できないときは、時効成立を待つのではなく、税務署や市役所などに相談しましょう。
すぐに納付できない事情や、支払いが遅れても納める意志があることを伝え、分割や猶予なども踏まえた納付計画を立てることが必要です。
減免・猶予の申請をする
税金滞納を解消できない状態が続けば、いずれ財産を差し押さえられてしまいます。
時効の成立はほぼ不可能であるため、自治体に納税の猶予や換価の猶予を申請しましょう。
たとえば住民税は1年以内が支払い期間であるものの、納税の猶予や換価の猶予を併用することで、最大4年間は支払いを猶予してもらえます。
以下の事情がある場合、減免または猶予で対応してもらえる可能性があります。
- 災害による損害を受けた
- 生活保護受給者である
- 解雇や倒産により失業した
- 学生または障がい者である
- 病気により多額の医療費がかかった
- 納税で生活維持が困難になる
- 猶予を受けたい税以外の滞納がない
さらに以下に該当すれば、減免してもらえる可能性もあります。
- 未納分よりも本人の資金が下回っている
- 多額の借金があり支払える経済状況ではない
- 財産の売却や経費削減などしても支払うことができない
納付猶予や減免が認められるかはケースバイケースであるものの、納税の意思があることが前提となります。
仮に時間がかかっても、支払い続けることや完納させる意思があることを伝えた上で相談するとよいでしょう。
納税資金を調達する
税金滞納を解消できない場合は、納税資金を調達しましょう。
ただし、銀行や信用金庫から融資を受ける場合、税金の未納がないことが条件であるため、延滞期間中に融資を受けることはできません。
税金を滞納中でも申し込みできる資金調達の方法として、ファクタリングが挙げられます。
ファクタリングは、保有する売掛金を現金化する資金調達の方法でり、審査では売掛先の信用力を重視します。
そのため税金滞納以外にも、債務超過や赤字決算で銀行融資の審査に通らない場合において、活用できる資金調達の方法です。
リスケジュールを相談する
借金が原因で税金を完納できない場合は、借入先にリスケジュールを相談しましょう。
リスケジュールなら、新たに借り入れする必要もないため、借金が原因で税金を完納できないなら金融機関に相談することをおすすめします。
まとめ
税金滞納の状態を続けても、基本的に時効は成立しません。
そのため税金滞納後は、督促状が届き、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。
督促状が届いたタイミングで、すぐに税金を完納めることが必要です。
税金を納めることができず、滞納状態を解消できない場合は、ファクタリングにより納税資金を調達することもご検討ください。