運送業において軽トラックや軽バンなどの軽貨物車両は欠かせません。購入するべきか、リース契約をするべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
軽貨物車両のリースを行う際には、知っておくべきポイントが数多くあります。今回は、軽貨物のリースを利用するべきかを踏まえて、リース会社の選び方を解説します。
法人車両はリースバックがおすすめ?メリット・デメリットについて解説
目次
軽貨物車両のリースとは
軽貨物車両のリースとは、主に貨物軽自動車運送事業において使用する車両を長期間の賃貸契約で使用することです。
カーリースとは、リース会社と契約して希望の新車を使用できるサービスです。レンタルと異なり数年以上の長期契約ができるのが特徴です。
カーリース誕生から保有台数は年々増加傾向にあります。ここではより詳しく軽貨物車両のリースについて次の3つを説明していきます。
- リースできる期間
- リース費用の相場
- リース審査の内容
リースできる期間
軽貨物車両のリース期間は、1か月からでもOKなど短期リースが可能な場合はあるものの、一般的には3〜5年です。
期間はリース会社により異なるものの、軽貨物運送業をいつまで続けるのか、長期的な使用が必要かによって適したリース会社やプランを選ぶことが必要といえます。
リース費用の相場
軽貨物車両のリース費用は、選ぶ車両が新車と中古車のどちらかによって以下のとおり異なります。
- 新車 月額2〜4万円
- 中古車 月額1万5千円〜
リース会社や契約内容によっては走行距離に制限が設けられているため、制限を超過すると追加料金が発生する可能性もあると留意しておいてください。
長距離案件が予定されている場合には、走行距離上限も踏まえた上でリース会社やプランを選ぶことが大切です。詳しいリース会社の選び方については後述しているので、ぜひご確認ください。
リース審査の内容
軽貨物車両のリース契約では、リース会社の審査に通ることが必要ですが、主に次の書類を求められます。
- 運転免許証
- 住民票または保険証
- 公共料金の領収証
- 決算書または確定申告書
審査では、主に収入や信用情報などを確認されることになるため、金融トラブルなど起こしていれば審査に通らない可能性もあります。
特に法人では、資本金・事業年数・事業内容・従業員数・売上高などが審査対象となるため、事業年数が1年未満で営業実績の確認ができない場合は審査に通りづらいです。
営業許可証なども必要になることがあるため、準備しておきましょう。スムーズに審査に通るためには、事業に合う車種の選択や、月々の利用料を減らすなど工夫が必要になる場合もあります。
リースの種類
軽貨物車両のリースは、提供されるサービスに点検・整備が含まれるかによって次の2つの種類に分類されます。
- ファイナンスリース
- メンテナンスリース
メンテナンスリースはファイナンスリースの内容を充実させた契約となることが多いため、その分費用は高くなるものの、突発的な支出を防ぐことができます。
それぞれの種類について説明していきます。
ファイナンスリース
「ファイナンスリース」とは、月々のリース料金に以下の費用が含まれるリース契約です。
- 車両代
- 利用料
- 自動車保険
- 自動車税
車両の点検や整備に関する費用は利用者負担となるため、最低限の料金を毎月支払えばよいリース契約です。
毎月のコストを抑えてリース契約を結んで軽貨物車両の確保には適していますが、点検や整備の費用は別途負担が必要になることは留意しておく必要があります。
メンテナンスリース
「メンテナンスリース」とは、月々のリース料金に以下の料金が含まれるリース契約です。
- 車両代
- 利用料
- 自動車保険
- 自動車税以外の車検
- 定期点検・故障修理などの点検・整備費用
リース会社や契約内容によって修理の対応可能な範囲は異なりますが、常に整備された軽貨物車両を使うことができます。
ただし点検や整備など、維持・管理費用も毎月のリース料に含まれるため、ファイナンスリースと比べてリース料は高めです。
リースとレンタルの違い
軽貨物車両を購入以外で用意する場合、リース以外にもレンタルという方法があります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、次の違いを理解した上で選ぶことが必要です。
- 選択できる車両
- 契約する期間
- 支払いのタイミング
- 所有者・使用者
- 中途解約の可否
それぞれの違いについて説明します。
トラックリースの料金相場はいくら?購入やレンタルした場合の費用と比較
選択できる車両
軽貨物車両のリースとレンタルは、選択できる「車両」に違いがあります。
レンタルで軽貨物車両を利用する場合、レンタル会社が所有している車両から選ぶことが必要であるため、レンタル会社所有の車両に希望する軽貨物車両がなければ利用できません。
それに対しリースなら、希望する車両を自由に選び、リース会社が車両を購入した後でリース契約を結び、借りて使用できるケースが多いです。
リース会社によって取扱車種に違いはあるものの、レンタルと比べるとリースのほうが希望する車種を利用しやすいでしょう。
契約する期間
軽貨物車両のリースとレンタルは、契約する「期間」に違いがあります。
レンタルで軽貨物車両を使用する場合、1日単位や数週間など短期での利用がメインです。リースは年単位で契約を結ぶケースが多いため、長期で軽貨物車両を利用したい方に適した契約方法です。
支払いのタイミング
軽貨物車両のリースとレンタルは、「支払い」のタイミングに違いがあります。
レンタルで軽貨物車両を利用する場合、利用の都度レンタル料を支払う必要があります。リースは毎月定額のリース料の支払いが必要です。
頻繁に軽貨物車両を使用するのであれば、リースの方が金銭的な負担は少なくなりやすいです。
所有者・使用者
軽貨物車両のリースとレンタルは、「所有者」と「使用者」に違いがあります。
レンタルで軽貨物車両を使用する場合、車検上の所有者と使用者はどちらもレンタル会社です。
それに対しリースで軽貨物車両を借りるときには、車検証上の所有者はリース会社で、使用者はリース契約を結んだ利用者となるといった違いがあります。
中途解約の可否
軽貨物車両のリースとレンタルは、「中途解約」の可否に違いがあります。
レンタルで軽貨物車両を使用する場合、契約の範囲内なら契約期間満了まで待たなくても途中解約できます。
これに対しリースで軽貨物車両を利用する場合には、契約内容によるものの原則、契約期間中の途中解約はできません。
リース契約では最低でも1か月単位で契約を結ぶことになるため、途中解約の必要のない場合に選ぶとよい契約方法といえます。
リースと購入の違い
軽貨物車両を用意する際に、リースやレンタルのように借りる以外にも、購入して所有する方法も選ぶこともできます。
リースやレンタルは所有するわけではないため、自由にカスタマイズすることができませんが、購入した場合には制限がありません。
ただし購入する場合には、まとまった資金の準備やローン契約を結ぶことなどが必要となります。
他にもリースと購入の違いとして次の2つを説明していきます。
- 支払いのタイミング
- 所有者・使用者
それぞれどのような違いがあるか説明していきます。
支払いのタイミング
軽貨物車両のリースと購入の違いとして、「支払い」のタイミングが挙げられます。
購入して軽貨物車両を使用する場合、一括またはローン契約での分割払いなどが必要となり、頭金など準備しておくことが必要になります。
ローン契約を結ぶ場合には、車両に係る費用のみ支払いの対象となり、税金や新車登録などの費用は別途負担しなければなりません。
これに対してリースで軽貨物車両を使用するときには、毎月定額のリース料に税金や諸費用などが含まれています。
リース料にすべて含まれていればコストを抑えて軽貨物車両を使用できると考えがちですが、手数料なども含まれるため長期利用すると支払総額は購入したときより多くなる点には注意が必要です。
車両の入れ替えをそれほど重視しておらず、手元の資金にも余裕があり長く愛用しながらメンテナンスなどもできるという場合には、一括で軽貨物車両を購入した方が得になると考えられます。
所有者・使用者
軽貨物車両のリースと購入の違いとして、「所有者」と「使用者」が挙げられます。
購入して軽貨物車両を使用する場合には、車検上の所有者と使用者はどちらも購入した軽貨物運送業者です。
これに対し、リースで軽貨物車両を使用する場合には、車検証上の所有者はリース会社で使用者は軽貨物運送業者となります。
ただ、分割による購入では、所有権留保となるため車検証上の所有者はクレジット会社または販売会社です。
軽貨物運送で選ぶ車両のポイント
軽貨物運送で車両を選ぶ際には、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 積載量
- 燃費
- 車両価格
- カーリース業者
それぞれのポイントについて説明します。
積載量
軽貨物運送で選ぶ車両のポイントは「積載量」です。
事業用の軽貨物車両は、宅配やチャーター便などどちらもどのくらいの荷物を一度に積み込むことができるかが収益を左右します。
荷台スペースができるだけ広い車種であることや、街中などでスムーズに荷下ろしできる設計など、使いやすいタイプのものを選ぶとよいでしょう。
燃費
軽貨物運送で選ぶ車両のポイントは「燃料」です。
事業として軽貨物車両を使用する場合、仕事している間は常に道路を走り続けることになるため、燃費は売上に大きく影響します。
中古車なら本体価格が安いためリース料を抑えることができると考えがちですが、新型タイプの軽貨物車両なら燃費が良好であることが多く、ランニングコストに差が発生することは留意しておきましょう。
車両価格
軽貨物運送で選ぶ車両のポイントは「車両価格」です。
性能が高ければ、車両価格も高額になりやすいです。車両価格が高ければ毎月のリース料も上がるため、
中古車を選べば車両価格は安くなるため、リース料は抑えられます。しかし、軽貨物車両の中古車は走行距離も多く、タイヤやエンジンなどが劣化している場合もあるため注意してください。
カーリース業者
軽貨物運送で選ぶ車両のポイントは「カーリース業者」です。
法人や事業者向けのリース会社などを選ぶ場合、今後の事業を踏まえつつ次の項目を明確にしておきましょう。
- 契約予定の台数
- ファイナンスリースとメンテナンスリースのどちらを選ぶか
- オプション利用の有無
- 選ぶ車両・車種
- 予定している契約期間
- 予算
- 予定している走行距離
リース会社により用意されているプランなど異なるため、同じ条件で複数社に見積もりを提示してもらい、最適といえるリース会社を選ぶことが必要です。
また、料金だけでなく、万一のトラブルに迅速に対応してくれるなどサービスの質についても確認しておきましょう。詳しいカーリース業者の選び方については後述しているので、ご確認ください。
軽貨物車両をリースするメリット
軽貨物車両を購入やレンタルではなく、リースにより確保することには次の5つのメリットがあります。
- 資金調達が不要
- メンテナンスの手間がない
- 事務負担が軽減される
- ナンバープレートを選べる
- 節税対策になる
それぞれどのようなメリットか説明します。
資金調達が不要
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するメリットは、資金調達が不要であることです。
仮に一括購入する際には、軽貨物車両本体価格を支払うことが必要となるため、その他の費用も含めると多額の資金が必要になります。
さらに一度資産として計上し、毎年減価償却した分のみを経費とすることになるため、使ったお金をすべて経費にすることはできません。
これに対しリースで軽貨物車両を使用するのであれば、毎月のリース料を負担すればよいのみであり、支払った費用を経費として計上できます。
メンテナンスの手間がない
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するメリットは、メンテナンスの手間がないことです。
購入すればメンテナンスは自らが負担することになるのに対し、リース契約すれば税金負担やメンテナンスなども含めることができます。
メンテナンスや点検、車検などの管理を簡素化できることはメリットといえるでしょう。
事務負担が軽減される
軽貨物車両を購入やレンタルではなく、リースにより確保するメリットは、事務負担が軽減されることです。
購入した場合には、資産計上した車両を耐用年数で割り、毎年減価償却し多分を経費として計上することになります。
自動車保険への加入や保険料の支払い、自動車税の納付やこれらの会計処理も必要となるため、事務負担が煩雑化します。
これに対しリース契約であれば、毎月支払ったリース料を経費計上すればよいだけであるため、事務負担を軽減できます。
特に台数が増えればその分、負担は大きく異なるといえるでしょう。
ナンバープレートを選べる
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するメリットは、ナンバープレートを選べることです。
レンタルやカーシェアしたときの軽貨物車両のナンバープレートは「わ」ナンバーですが、リースであれば購入したときと同様に自由にナンバープレートを選ぶことができます。
顧客や取引先などに移動するとき、「わ」ナンバーであると信用問題なども懸念されることがあるため、ナンバープレートを気にすることがないのはメリットです。
節税対策になる
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するメリットは、節税対策になることが挙げられます。
購入するときには維持費である税金ややメンテナンス費用を別途負担することが必要ですが、リースなら毎月のリース料にこれらの費用も含まれるため、課税の対象となりません。
経費として計上しやすくなるため、節税効果が高くなるといえるでしょう。
軽貨物車両をリースするデメリット
軽貨物車両をリースで準備することにはいろいろなメリットがありますが、次の2つのデメリットには留意しておきましょう。
- 審査に通らないと利用できない
- 中途解約できない
それぞれのデメリットについて説明します。
審査に通らないと利用できない
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するデメリットは、審査に通らないと利用できないことです。
リース契約を結ぶ際には審査があり、原則、すべてのリース会社で審査に通ることが必要と考えられます。
審査では収入や信用情報などを確認されるため、多額の借入れがある場合や、金融事故などの履歴があれば審査に通らずリース契約を結ぶことはできません。
中途解約できない
軽貨物車両を購入やレンタルではなくリースにより確保するデメリットは、中途解約できないことが挙げられます。
リース契約を結ぶ場合、契約期間中のすべての費用を算出した上で月割りし、毎月のリース料を決定します。
契約年数を決めた上でリース料が決まるため、途中解約すれば残りの期間の費用はリース会社が負担しなければならないからです。
途中での解約を認めてもらえる場合でも、違約金や解約金などが発生することがあるため、どのくらいの期間使用するか踏まえた上で契約年数を決めるようにしましょう。
軽貨物リース会社の選び方
軽貨物車両のリース会社選びは、次の4つのポイントが重要です。
- 月額料金
- 取扱車種
- 返却時の残価精算
- 月間走行距離精算
以下ではそれぞれのポイントについて解説します。
月額料金
リース会社を選ぶうえで月額料金は重要なポイントです。リース会社によっては相場以上の月額料金を提示してくる場合があるため、必ず相見積りを取ったうえで申し込みを行いましょう。
ファイナンスリースとメンテナンスリースのどちらを選ぶかも重要です。リース会社によっては、独自のサポート体制を整えている場合もあるため、月額料金の内訳は必ず確認してください。
安さだけで利用するリース会社を選んでしまうと、サービスの質が低く後悔する場合があります。月額料金とサービス内容の両方を確認したうえで、リース会社を選びましょう。
取扱車種
取扱車種の豊富さもリース会社選びのポイントです。リース会社の取扱車種が豊富だと、希望している車をリースしやすいです。
リース会社によって取扱車種は大きく異なります。リース会社はホームページに取り扱っている車種を掲載している場合が多いため、見積りを取る際には確認してください。
リース会社によっては、取扱車種が豊富でも契約する車種の指定ができない場合があるため注意してください。
返却時の残価精算
リース会社を選ぶ際は、残価精算の有無も重要なポイントです。残価精算とは残価(契約時に設定する契約満了時の車の想定査定額)と契約満了時の実際の査定額の差額を精算することです。
実際の査定額が残価を下回った場合は、差額を支払わなければいけません。契約満了時の支払いを気にせず軽貨物のリースを利用したい場合は、残価精算がないリース会社を選びましょう。
月間走行距離制限
軽貨物のリースは契約満了時に車の返却を行うのが一般的です。返却時に車の価値が大幅に下がっていると、リース会社の損失は大きくなります。
そのため、リース会社は車の価値を維持するために、月間走行距離制限を行う場合があるのです。月間走行距離制限が設けられていると、長距離の配送に支障が出やすいため注意しましょう。
契約満了時に車の購入を行うリース契約であれば、車を返却する必要がないため、月間走行距離制限はありません。制限を気にせずに車に乗りたい場合は、購入を前提としたリース契約ができるリース会社を選んでください。
まとめ
軽貨物車両のリースには様々なメリットがあります。企業の状況次第では、購入やレンタルよりリースを利用した方が良いケースも多いです。本記事を参考に、ぜひ軽貨物車両のリースを検討してみてください。