ゼロゼロ融資とは?仕組みや課題・返済や借換方法をわかりやすく解説

ゼロゼロ融資とは、無利子・無担保融資のことで新型コロナウイルス感染症の影響下における融資制度です。

資金繰りに悩む中小企業にとってハードルの低い制度だったため、使いやすく利用が増えた一方で返済負担が重くのしかかり、相次ぐ企業倒産が問題視されています。

そこで、ゼロゼロ融資について、仕組みや課題、返済対策となる借換制度をわかりやすく解説していきます。

ゼロゼロ融資とは

売り上げ低迷を示す図

ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、売上が大きく減少した中小企業に対して実質無利子・無担保で融資する制度です。

コロナ禍で打撃を受けた中小企業が金融機関へ申請すると、審査を経て最大3億円まで融資を受けることができました。

新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった直後の2020年3月から、日本政策金融公庫(日本公庫)や商工組合中央金庫(商工中金)などの政府系金融機関から始まった制度です。

その後、ゼロゼロ融資の利用者が予想以上に多かったことから、2020年5月からは民間金融機関も融資に加わりました。

中小企業庁によると、2022年9月の受け付け終了までに実行されたゼロゼロ融資は、約245万件、約42兆円に達するといわれています。

ゼロゼロ融資の対象は中小企業や個人事業主であり、新型コロナ以前より売上高が減少していることが融資を受ける条件でした。

ゼロゼロ融資(無利子・無担保融資)とは?初心者にもわかりやすく解説!

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ゼロゼロ融資の仕組み

仕組み

ゼロゼロ融資の仕組みは以下のとおりです。

無利子上限 <日本政策金融公庫>
中小企業:4億円
個人事業主:6,000万円
<商工組合中央金庫>
中小企業:3億円
無利子期間 当初3年間
資金使途・貸付期間 設備資金20年以内(うち据置期間は5年以内)
運転資金20年以内(うち据置期間は5年以内)
対象者 売上が(5%以上)減少した中小企業、個人事業主
融資期間 2020年3月~2022年9月

ゼロゼロ融資の「ゼロ」とは、実質無利子・無担保で融資を受けることができることを意味します。

特別利子補給制度により国(中小企業基盤整備機構)が利子を負担するため、融資から3年間は無利子で資金を借入れできるものの、4年目以降は基準利率が適用されます。

また、5年以内の据置期間中は元金を返済する必要もありませんでした。

元本も信用保証協会によって保証されるため、返済できなくなったときには支払いを肩代わりしてもらえます。

ゼロゼロ融資の種類

ゼロゼロ融資は、大きく以下の4種類にに分けることができます。

政府系金融機関 ・新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
・セーフティネット貸付(日本政策金融公庫)
・新型コロナウイルス感染症特別貸付(中小企業向け制度)(商工組合中央金庫)
民間金融機関 ・新型コロナウイルス感染症対応資金(各都道府県)

ゼロゼロ融資の課題

問題点

コロナ禍においては、ほとんどの業種で売上が減少し、運転資金不足に悩む事業者が増えたといえます。

そのため、倒産が相次ぎ企業倒産件数はかなりの高水準になることが予想されましたが、ゼロゼロ融資に実質無利子・無担保融資という特徴があり、借りやすい融資だったため企業倒産件数が減少しました。

しかし、本来であればすでに倒産していた収益力のない中小企業者が延命されたケースもあり、返済のピークを過ぎた今後は企業倒産件数が増加すると懸念されているようです。

2022年9月までに金融機関による受け付けも終了しており、利子補給で利払いが実質免除された貸付から3年目を区切りにすでに返済も始まっています。

しかし急激な物価高や人手不足で、業績回復に遅れが生じている事業者などは、このままでは返済できなりさらに経営難に陥ると不安視している現状です。

借入金が増え過ぎ、債務超過で返済不能に陥り、倒産危機に悩む会社も増える恐れがあります。

ゼロゼロ融資の返済対策

対策

コロナセーフティネット保証4号や、コロナ借換保証は2024年6月末で原則終了となり、日本政策金融公庫等の新型コロナウイルス感染症特別貸付等の金利引き下げも終了となりました。

しかし現在もコロナ禍の影響に苦しむ事業者への再生支援の強化や、円安等に伴う資材費等の価格高騰等で苦しむ事業者向けの制度は継続するとしています。

コロナ融資の返済が厳しい事業者へのコロナ借換保証制度は原則終了となるものの、以下の方法でコロナ融資の借換等を通じた資金繰り支援の実施の指示が出ているようです。

  • 100%保証を100%保証で借り換えできる小口零細企業保証
  • 認定経営革新等支援機関(金融機関等)の支援を条件とした経営力強化保証(80%保証)

日本政策金融公庫等も一般的な災害貸付金利を適用し、2024年12月末まで延長する新型コロナウイルス感染症特別貸付等において、資金繰りに課題を抱える事業者ニーズを踏まえた対応を行うとしています。

そのためゼロゼロ融資の返済が厳しいときには、まずは今後の返済計画などについて金融機関に相談することをおすすめします。

まとめ

ゼロゼロ融資とは、実質無利子・無担保融資のことです。

新型コロナウイルス感染症の影響により、大きく売上が減少した中小企業を対象にゼロゼロ融資は多く利用されました。

しかし、ゼロゼロ融資を利用して倒産を免れた中小企業などは、低金利とはいえ据置されていた利子の負担や返済資金の捻出に困り、返済を継続できるかが大きな問題点となっています。

事業再生(企業再建・M&A)についてお悩みがある方は、PMGまでご相談ください。