契約書を取引先などに郵送する際、送付状を添えます。
たとえば2部の契約書を送り、相手に署名・捺印してもらった後で1部は返送してもらうときは、返信用封筒に送付状を添えて送付します。
しかし送付状の正しい書き方や郵送する際のルールやマナーを理解しておかなければ、契約書が手元に戻ってこない恐れもあるため注意が必要です。
そこで、契約書の送付状の書き方や、郵送するときのルールやマナーをわかりやすく解説します。
目次
契約書の送付状とは
契約書の「送付状」とは、送り状や添え状とも呼ばれる文書であり、宛先・送付日・送付内容などを記した書面です。
挨拶や通知の役割などがある文書であり、書類の内容を速やかに把握できるように添えます。
契約書の送付状について次の2つを説明します。
- 役割
- 必要性
なお、契約書の作成方法については以下の記事を参考にしてください。
契約書の作成方法とは?雛形を使った書き方のコツわかりやすく解説
役割
契約書の「役割」は、挨拶文を添えることと送った書類を明らかにするためです。
契約書のみを相手に送るのではなく、送付状が添えられていれば丁寧な印象を与えることができます。
直接会って渡すことができない相手に、失礼がないように挨拶文として送り状を添えます。
また、送り状にどのような書類を何通送ったのか記載されていれば、受け取った相手の見落としを防ぐことができます。
契約書以外の書類も同封するときは、送った書類を一覧で記載し、同じ並びで書類を封入するとよりわかりやすいといえます。
必要性
契約書は必ずしも必要な書類ではないものの、添えていなければマナー違反と思われてしまう恐れもあります。
取引先に届ける書類は契約書以外にも、見積書や請求書などが挙げられますが、いずれの場合でも送付状を添えることが一般的です。
契約書郵送における同封書類
取引先へ契約書を2部郵送するときは、返信用封筒を同封し、1部を返送してもらいます。
返信用封筒は、返信先が郵便料金を負担する「料金受取人払郵便」の封筒のときを除いて、切手を封筒の表に貼っておきます。
円滑な契約締結とその後の取引開始までの時間を短縮できるため、取引先だけでなく自社にもメリットがあるといえるでしょう。
返信用封筒には宛名など、以下の項目を記載しておきます。
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自社社名や担当者名の末尾に「行」と記載します。
取引先が「御中」や「様」に書き換えやすいように、縦書きは左、横書きは下へずらして「行」と記載しておくとより親切です。
裏面は何も記載する必要はありません。
契約書の送付状の書き方
契約書の送付状に、どのような書類が同封されているか記すことが必要であるため、書き方(記載する項目)は以下のとおりです。
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補足事項がある場合は、最後に「備考」として記載します。
挨拶の例文は以下のとおりです。
〇年〇月〇日 株式会社○○ 株式会社〇〇 書類送付のご案内 拝啓 時下ますますご清栄のことお喜び申し上げます。 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 早速ではございますが、下記書類を送らせていただきますので、ご査収の程よろしくお願いいたします。 敬具 記 ・契約書 1部 以上 |
契約書の郵送ルールとマナー
契約書を取引先に郵送するときは、以下のルールやマナーを守ることが必要です。
- クリアファイルに入れる
- 中身が透けないようにする
- 適切な郵送方法を選択する
それぞれ説明します。
クリアファイルに入れる
契約書を郵送するときには、輸送の途中で折れたり水濡れしたりしないように、クリアファイルに入れておきましょう。
悪天候でも汚れを防ぎ、配達中の破損や折れ曲がりを防ぐことができます。
中身が透けないようにする
契約書は、封筒の外側から中身が透けて見えないように工夫をしておきましょう。
様々な重要情報が記されている書類であるため、中身が透けない加工が施されている封筒を使います。
返信用封筒に使用する封筒も同様の封筒を使いましょう。
適切な郵送方法を選択する
契約書を取引先に送るときは、適切な郵送方法を選びましょう。
なぜなら契約書は、郵便以外の方法で送ることはできないからです。
郵便法第4条で、日本郵便以外の法人・個人が、郵便業務を生業とすることや信書を送達することはできないと規定されています。
信書とは、郵便法や信書便法で定義されている書面であり、特定の受取人に差出人の意思を表示または事実を通知する文書のことです。
契約書は信書に該当するため、宅配便などを扱う運送業者などが取り扱うことはできません。
なお、信書に該当する書類医は、契約書だけでなく領収書・見積書・申込書・保険証券なども含まれます。
契約書の郵送方法
契約書は郵便で送ることが必要ですが、一般的な普通郵便ではなく配達記録の残る方法で送ります。
重要な書類である以上、届かなかったり間に合わなかったりといったトラブルを防ぐために、以下の郵送方法から選択してください。
特定記録郵便
簡易書留
レターパック
なお、2024年10月1日から郵便料金が以下のとおり変更されています。
通常はがき85円 定形外郵便物110円~ 特定記録郵便210円 簡易書留350円 レターパックライト430円 レターパックプラス600円 |
上記を踏まえて、それぞれの郵便方法について説明します。
特定記録郵便
「特定記録郵便」は、郵便局が郵便物を引き受けたことや、配達状況の記録を残せる郵便サービスです。
いつ、誰に郵便物を送ったのか残したい場合や、インターネットで配達状況を確認したいときに便利なサービスといえます。
ただしポスト投函で郵送はできないため、郵便局の窓口で手続することが必要です。
相手の郵便受けに届けられるため、受領者の署名や押印は残らないものの、普通郵便代金に210円を追加すれば利用できるため費用を抑えることはできます。
簡易書留
「簡易書留」とは、郵便分の引き受け日時と、配達した日時が記録される郵便サービスです。
特定記録郵便に似たサービスであるものの、簡易書留であれば受領者の署名や押印が残ります。
郵便局の窓口で手続が必要になるものの、普通郵便代金に350円を追加すると利用でき、万一の紛失において5万円まで実損額が賠償されます。
レターパック
「レターパック」とは、専用封筒を使って全国一律料金で郵便物を送ることができる郵便サービスです。
厚み3cm・重量4kgまでの荷物なら送ることができるため、契約書だけでなく資料なども添えることに適しています。
専用封筒を購入することは必要ですが、ポスト投函で郵送できることや、インターネットで配達状況を確認することができるなど手軽さも魅力です。
なお、レターパックは「レターパックライト」と「レターパックプラス」の2種類があるため注意してください。
レターパックライトは相手の郵便受けに届けることになり、全国一律430円です。
レターパックプラスは対面での配達となり、全国一律600円で届けてもらえます。
2024年10月1日前に購入していたレターパックがある場合は、差額分の切手を貼ることで使用できます。
契約書郵送における手間やコストを削減する方法
契約書を取引先に郵送するときは、契約がスムーズに締結できるように、送付状や返信用封筒などの準備が欠かせません。
しかし契約書作成の紙やインク代、人件費に郵便代など様々な必要が発生します。
この場合、インターネットで契約を締結する「電子契約」を取り入れることで、郵送の手間やコストを削減できます。
宛名書きや郵便局窓口へ出向くことが面倒と感じるときは、契約締結がスピーディに進む電子契約を検討するとよいでしょう。
まとめ
契約書を取引先へ送り、1部を返送してもらうことが必要であるときは、返信用封筒に送付状を添えて送付します。
送付状は、送り状や添え状とも呼ばれる文書であり、宛先・送付日・送付内容などを記した書面です。
失礼のない書き方や、ルールやマナーを守ることで、よりスムーズな契約締結につながるでしょう。
契約書だけでなく、ビジネスで取引先へ書類を届けるときは、適切な郵送方法を選択するようにしてください。