銀行融資以外の資金調達方法|全5種類のメリット・デメリットを徹底解説

資金を調達するとき、銀行融資以外の方法を検討することもあるでしょう。

中小企業の資金調達方法といえば、まず銀行からお金を借りることを思い浮かべる方がほとんどでしょうが、審査に通らなければ融資以外の方法を検討しなければなりません。

過去に銀行から資金を借りたことがある場合でも、再度審査に通るとも限らず、すぐにお金が必要になる可能性も含めて融資以外の方法を知っておくことは余裕のある経営判断のためにも必要なことです。

そこで、融資以外の資金調達方法にはどのような手段があるのか、それぞれのメリットやデメリットについて解説していきます。

銀行融資で資金調達できない主な理由

中小企業が銀行から融資を受けたくても、資金調達につながらない理由として次の3つが挙げられます。

  1. 返済能力
  2. 経営状況
  3. 会社規模

まとまった資金を調達するためには、金融機関にお金を貸しても良い相手だと認めてもらうことが必要ですが、審査に通らない理由をそれぞれ確認しておきましょう。

返済能力

銀行融資では、何よりも相手の返済能力を重視した審査を行います。

元金に利息を付けて返済してもらうことが重要と考えるため、回収の見込みがない相手にお金を貸すことはありません。

しかし中小企業の多くは赤字経営であり、担保として差し入れることのできる資産も保有していないことが少なくないといえます。

収支状況や借入金の利用履歴など確認し、十分な担保もなければ、返済能力に問題があると判断されれば審査に通らなくなるといえるでしょう。

経営状況

銀行融資は、決算書が赤字であると審査に通りません。

赤字経営であるということは、利益を生むことができていないことであり、借入金の返済資金を捻出できない状態と判断されるからです。

数年に渡り赤字続きのときには、状況が改善傾向でなければ審査では厳しい判断となります。

会社規模

銀行融資では、会社規模も重視されます。

創業してからのどのくらいの年数が経過しているのか、資本金や従業員数なども確認され、資金面での体力を判断されることになります。

小規模な企業の場合、体力が弱いと判断されることが多いため、差し入れる担保などがなければ融資は難しくなる傾向が見られます。

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資金調達方法の種類

資金調達には、様々な方法があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、自社の状況に応じた資金調達方法を選ぶことが大切です。

資金調達方法を属性ごとに分けると、以下の4種類が挙げられます。

  1. デットファイナンス
  2. エクイティファイナンス
  3. アセットファイナンス
  4. 補助金・助成金

それぞれについて解説します。

デットファイナンス

金融機関や自治体から融資を受けたりローンを活用したりする方法がデットファイナンスに該当します。

デットファイナンスは負債を増やす方法であり、将来的に返済の負担が生じるのが特徴です。返済能力や計画があることを前提とした資金調達方法であるため、審査に通過しなくてはなりません。

エクイティファイナンス

出資によって資本を増やす資金調達方法です。

企業や個人投資家など、自社に出資してくれる相手を募る必要があります。

エンジェル投資家を募集したりベンチャーキャピタルを利用したりする方法の他、近年人気のクラウドファンディングもエクイティファイナンスの一種です。

また、株式を新しく発行して第三者へ売却する方法(第三者割当増資)も挙げられます。

エクイティファイナンスのメリットは、いずれの方法も返済義務がないことでが、どのような方法で出資を募ったかによって、定期的な配当金の支払い義務が生じます。

アセットファイナンス

すでに保有している資産を現金化する方法です。

保有している資産のなかには、直近で使用していないものや、維持に余計な費用がかかっているものも含まれます。

不要な資産を売却することで現金を得られる上、維持費の節約にもつながります。

固定資産のほか、売掛金や有価証券などの売却も該当します。

補助金・助成金

4つ目は、補助金・助成金を利用することです。国や自治体が個人または企業向けに実施している補助金・助成金制度のほか、業界の民間団体が似たようなサポートを取り扱っている場合もあります。

補助金や助成金を利用するためには、要件を満たした状態での申請が必要です。

資金調達の方法1.ベンチャーキャピタル

銀行融資以外の資金調達方法として挙げられるのが「ベンチャーキャピタル」に投資してもらう方法です。

「ベンチャーキャピタル」とは、スタートアップ企業などの将来性を期待して出資する投資会社であり、未上場の企業に投資し、上場したときの株式売却益を得ることを目的としています。

一般的なベンチャーキャピタルの場合、出資と同時に「経営コンサルティング」も行い、取得した株式が上場後の売却で大きな値上がり益を生む目的を果たすためにも、企業価値向上を図ることが多いといえるでしょう。

しかし投資先となった企業のすべてが上場できるとは限らず、出資した資金回収ができないケースもあるため、ベンチャーキャピタルのハイリスク・ハイリターンを理解した上で出資していると考えられます。

創業したばかりで知名度も低いベンチャー企業の場合、担保も所有しておらず信用力も低いため、銀行から融資を受けたくても難しいケースがほとんどです。

しかしベンチャーキャピタルを頼ることで、事業成功の可能性を中心とした判断により、返済義務のない資金を調達できます。

ただし投資してもらった金額に見合うリターンをあげることが望まれることとなるため、将来的な成長をしっかりアピールできるによって、資金調達できるかを左右すると考えられます。

ベンチャーキャピタルのメリット

実績が浅く、社会的な信用力が十分とはいえないスタートアップしたばかりの企業などは資金調達の手段が限られている状態であるものの、多額の資金を投資してくれることはメリットです。

お金を借りるのではなく、出資してもらう形になるため、返済義務のない資金を調達できることもメリットといえるでしょう。

資金力を強化した経営が可能となり、思い切った経営判断や事業展開も可能となります。

ビジネスパートナーとなる企業などを紹介してくれたり人脈をつなげてくれたり、経営的なアドバイスなども受けることができるため、事業を成功させ利益回収も期待しやすくなるといえるでしょう。

ベンチャーキャピタルのデメリット

ベンチャーキャピタルに投資してもらうことのメリットは大きい反面、出資する前提は上場させることであるため、経営方針に従わなければならないことはデメリットです。

自らの事業方針を曲げなければならないこともあり、自由な経営ができないことはデメリットといえます。

また、投資ファンドが株式を購入することになれば経営権の一部を握られることとなり、株式保有割合によっては経営権を揺るがされる問題に発展することも留意しておく必要があります。

資金調達の方法2.エンジェル投資家

将来性の見込めるベンチャー企業やスタートアップ起業家に対し、資金を投じてくれる個人を「エンジェル投資家」といいます。

エンジェル投資家は、もともと起業家として活躍していた方などです、

ベンチャーキャピタルのように株式売却益を獲得することを目的としてるわけではなく、将来性の見込める企業を応援したいという姿勢で出資してくれることもめずらしくありません。

純粋に経済的追求を超えた理由で資金を投じてくれるエンジェル投資家もいれば、ベンチャーキャピタルのように上場後の株式売却益を狙っているケースもあるため様々です。

エンジェル投資家のメリット

エンジェル投資家を頼ることで、投資してもらえるだけでなく有力者を紹介してくれたりビジネスに関する助言をしてもらえたりなど、経営を円滑に進めるきっかけを支援してくれます。

また、融資ではなく投資であるため、ベンチャーキャピタル同様に返済義務のない資金を調達できます。

エンジェル投資家のデメリット

エンジェル投資家から出資を受けるときには、株式や転換社債と交換することが一般的です。

そのため株式の持ち分の割合によって、経営権を揺るがされる問題になる可能性もあります。

また、経営に関与してくるエンジェル投資家もいるため、自由な経営ができなくなるリスクもあると留意しておきましょう。

資金調達の方法3.クラウドファンディング

「クラウドファンディング」とは、インターネット上にこれから始めるサービスや販売する商品などの開発または販売に向けて、不特定多数の賛同者から少しずつ資金を集める方法です。

個人から集める資金のため、一人あたりの金額は少ないことがほとんどですが、大人数から集めることができれば多額の資金調達につながります。

集めた資金は資金を投じてくれた人に対し、どのようなリターンを与えるかによって、購入型・融資型・投資型・寄付型など異なります。

クラウドファンディングのメリット

インターネットを使って、多くの人にビジネスプランを周知させることが可能であることがクラウドファンディングのメリットです。

賛同者を多く集めることで、期待していたよりも多くの資金を調達できる可能性もあります。

商品購入型・寄付型のクラウドファンディングの場合、新しい商品やサービスを販売したいときに用いられる方法ですが、見返りとして支援者にその商品やサービスを提供することになります。

資金負担も少なく、新たな商品やサービスを支援者に利用してもらうことで、さらに多くの人に自社商品やサービスを周知させることにつながるとも考えられるでしょう。

クラウドファンディングのデメリット

クラウドファンディングは、インターネットを使って簡単にはじめることができる反面、賛同者が集まらなければ資金調達につながらないことがデメリットです。

ネット上に新商品やサービスなどビジネスプランを公表するため、その内容を盗用されるリスクも否定できません。

目標金額に達成してもプロジェクトの見通しが甘い場合、支援者にリターンできず終わることもあるため、十分思案した上で始めることも必要です。

なお、クラウドファンディングは専門サイト運営者に15%程度の手数料を支払うことが必要であるため、手数料を差し引かれることも見据えた目標金額などの設定が望ましいといえます。

資金調達の方法4.ファクタリング

「ファクタリング」とは、売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化することで資金を調達できるサービスです。

売掛先から売掛金が入金されるよりも前に、お金を受け取ることができます。

売掛金の入金期日までが長く設定されているときや、サイト長期化で資金繰りが悪化しているときには、ファクタリングを使うことによりキャッシュフローを改善させることにつながります。

ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは、銀行融資よりも審査のハードルが低く、資金調達までの時間が短いことです。

銀行融資など借入れの審査では、申込者の信用力を重視するため、借金を多く抱えていた李赤字決算だったりすれば利用できません。

しかしファクタリングでは、利用者ではなく売掛先の信用力を重視した審査を行うため、赤字決算や債務超過でも申し込みできます。

また、はやければ即日現金化が可能になるなど、資金調達までのスピードが格段にはやいことがメリットです。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングを利用するデメリットとして、手数料が高めであることが挙げられます。

例えば利用者とファクタリング会社で契約する2社間ファクタリングでは、10~20%が手数料相場であるため、長期利用すれば資金繰りは悪化します。

また、調達できる金額は売掛金の範囲に留まるため、多額の資金が必要であればその金額を超える売掛金を保有していることが必要です。

資金調達の方法5.リースバック

リースバックは、保有している不動産をリース会社へ売却して現金化する方法です。通常の不動産売買とは異なり、売却した物件をリース契約して借り続ける特徴があります。

居住用や社宅用の戸建てはもちろん、リース会社によっては工場やオフィスなど事業用の不動産も契約対象となります。

リースバックのメリット

通常の不動産売買と同じく、まとまった資金を得られるのが最大のメリットです。買主が現れるのを待つ必要がなく、短期間で現金化できる魅力があります。

リース契約(賃貸借契約)を結べば、売却後も同じ物件に住み続けられるため、ご近所に知られることもありません。

リースバックのデメリット

現在の家に住み続けながらまとまった資金を得られる一方で、通常の不動産売買とは異なるデメリットもあります。

通常の不動産売買時は、地域の相場を考慮しつつも売主の意志を反映した売却価格を設定できるのが特徴です。一方、リースバックは、通常の不動産売買時に比べると売却価格が低くなる傾向があります。

また、家賃の支払いも必要です。リース契約は定期借家契約で結ばれることが多く、相応の合意が得られなければ賃貸期間満了時に出て行かなくてはなりません。

資金調達の方法6.ノンバンク

銀行の融資審査に通りにくい方でも利用しやすい金融サービスが、ノンバンクです。その名のとおり銀行以外の金融機関をさしており、消費者金融や信販会社など様々な事業者がサービスを提供しています。

企業向けのビジネスローンのほか、個人向けの住宅ローンなど、幅広い金融サービスを取り扱っているのが特徴です。

ノンバンクのメリット

ノンバンクを利用する最大のメリットは、スピーディーな融資です。審査に必要な書類が少なく、申請までの時間を短縮できま28

ノンバンクのなかには、利用限度額や利用枠を設けているところもあります。枠内であれば何度でも借入・返済を繰り返せるところも、銀行にはないメリットです。

ノンバンクのデメリット

気軽に利用できるノンバンクにも、いくつかのデメリットがあります。審査が素早く短期間で融資を受けられる反面、金利が高く設定されているノンバンクがほとんどです。幅広い層が借入れできる分、リスク軽減のために高い金利となっています。

金利が高い点は、返済期間が長引くほど財務状況を圧迫するおそれがあります。ノンバンクを利用するときには短期間での利用・返済を計画することが大切です。

また、借入限度額が低いこともデメリットとなり得るポイントです。設備投資時などまとまった金額を調達したいときは、銀行や公的金融機関も検討しましょう。

まとめ

中小企業が資金調達する方法は、銀行融資以外にもいろいろあります。

普段から付き合いのある銀行があれば、つい担当者に頼りたくなることもあるでしょうが、融資を申し込んでも審査に通るとは限りません。

万一のために資金調達の方法を多様化しておくことも必要であり、現状や獲得したお金は何に使うのかなどを踏まえた上で、最適な方法を選ぶようにしましょう。