新型コロナウイルスの影響による給付金が増えている?休業手当制度が7月に開始など


新型コロナウイルスによる影響を受けた企業から休業を求められたのに、休業手当を受け取ることができなかった中小企業の労働者を対象として、国は新たな新型コロナ対応の給付金制度を7月にスタートさせます。

労働者自身が申請を行うことで、企業を通さず直接給付金を受け取ることが可能です。新型コロナウイルスによる休業を余儀なくされ休業手当が支払われていない労働者であれば、正社員・非正規労働者・外国人なども受給の対象となります。

今後、新たな新型コロナウイルスによる給付金制度の詳細や手続き方法は決まると予想されますが、他にも事業者に対する支援金や給付金の制度も拡充されています。

そこで、新型コロナウイルスにより休業しなければならなかった労働者や事業者に向けた給付金制度のうち、新たに新設されたものや拡充されたものの内容についてご紹介します。

 

新型コロナ対応休業支援金

新しく労働者向けに創設された給付金制度は「新型コロナ対応休業支援金」といい、2020年6月12日に成立した雇用保険法の臨時特例法に盛り込まれました。

給付の対象となるのは新型コロナの影響により中小企業から休業させられた労働者で、休業手当(全部または一部)を受け取ることのできなかった方です。

外国人技能実習生なども含め、国籍関係なく雇用契約を結んでいる方なら対象となります。また、正社員以外の短時間パート労働者や学生アルバイトなども対象となりますが、フリーランスに関しては対象外となっています。

休業した日数に応じ、休業前賃金の80%が給付されますが、月額33万円を上限とするとのことです。

申請を行うためには、いつ・どのぐらい休業をしていたのか、休業前に支払われた賃金の金額などを確認できる書類を提出することが必要となります。

ただし証明を厳格に求めた場合、企業側がスムーズに対応しない場合もあるため、簡素な仕組みで申請できるように検討しているようです。仮に企業が休業を証明する書類を交付しない場合などは、厚生労働省の職員から企業側に直接確認を行うことも検討されています。

申請の受付はオンラインや郵送での対応となり、7月中旬までに開始され、支給は7月中を目指すとのことです。

労働基準法では労働者の休業が企業側にあるのなら、手当を支払うことを義務付けています。そのため今回新設された制度により、本来であれば企業が負担しなければならない支払い分を国が肩代わりすることになるともいえるでしょう。

休業手当の不払いに拍車をかけてしまわないように、雇用調整助成金を活用し休業手当を支払うことを原則とはしているようです。また、悪質な手当の不払いには厳しい姿勢で臨むとしていますが、具体的な対策の内容は明らかにされていません。

 

雇用調整助成金とは?

労働者に対する休業手当の糧になる助成金が「雇用調整助成金」です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により売上減少に至ってしまった事業者が、休業手当を労働者に支給した上で休ませた場合には、その費用の一部を政府が助成するという内容です。

雇用調整助成金はもともとあった制度で、1975年から厚生労働省が実施しています。

経済上の理由などで事業を縮小しなければならなくなり、従業員などを雇用し続けるために一時的に休業させる場合において支援するための制度として設けられました。

今回は新型コロナウイルスの影響により、売上が減少してしまった事業者の雇用を維持するために特例措置として、雇用調整助成金の内容が大幅に拡充されています。

雇用調整助成金の対象となる事業者

本来の雇用調整助成金の場合、事業所を設置して1年以上経過していなければ申請の対象にはなりません。しかし新型コロナウイルスの影響による特例措置では、この要件は撤廃されています。

令和元年12月から事業所が設置されているのなら申請可能ですし、最近1か月間の売上または生産が前年同月比より5%以上減少していることを要件とするので、多くの場合該当するといえるでしょう。

給付金対象となる労働者とは

本来の雇用調整助成金の場合、雇用保険の適用を受けており6か月以上継続して勤務した労働者が制度適用の対象です。

しかし新型コロナウイルスの影響による特例措置では、新卒採用者など雇用期間が6か月に満たない方でも対象となります。そしてアルバイト労働者など、雇用保険の被保険者ではない方に対して支払う休業手当も、緊急雇用安定助成金(本来の雇用調整助成金の対象に含まれない非正規労働者のための制度)が適用されるため助成を受けることができます。

雇用調整助成金の対象となる新型コロナウイルスによる休業とは

新型コロナウイルスの影響により、売上低迷や事業縮小という状況に陥り、事業者が計画して取り組んだ休業が助成の対象です。

たとえばキャンセルが相次いだことにより客数減に伴う売上減少や、外出自粛などによる客数減での売上減少、営業自粛要請を受けたことで自主的に休業したことによる売上減少などが対象となります。

雇用調整助成金で受け取る給付金の上限

雇用調整助成金の1日あたりの支給額は、従業員1人につき8,330円ですが、新型コロナウイルスの影響による特例措置では15,000円となります。

なお通常の1人あたりの助成額については、

助成額=平均賃金額×休業手当等の支払い率×助成率

ですが小規模事業主の場合には、

助成額=実際に支払った休業手当×助成率

で計算できます。

計算式にあてはめる助成率は、中小企業は原則4/5ですが解雇せず雇用維持に取り組むなら10/10となります。大企業の場合は原則2/3となり、解雇せず雇用維持に取り組むなら3/4が適用されます。

支給上限日数は、本来の場合は原則1年間100日分、3年間150日分を上限としています。しかし令和2年4月1日~令和2年9月30日までの休業については、支給限度日数の適用はなく制限されません。

手続きも大幅に簡略されており、本来なら事前に提出した休業計画に基づいて助成の対象となるか判断されますが、新型コロナウイルスの影響による特例措置では計画を提出しなくても申請できます

新型コロナウイルスの影響による特例措置は、2020年6月30日までとされていましたが3か月延長となり2020年9月30日までです。4月1日以降に申請を行った事業者は現在の内容が適用されますが、過去の申請分も差額を別途手続き不要で追加支給するようです。

新型コロナのリスクを抱える介護職員を支援する給付金が使われていない?

新型コロナウイルス感染症リスクを抱える介護職員を支援するための特別給付金福岡市では支給しています。

高齢者や障がい者を介護する職員に対し、給付金を支払うことは2020年4月にすでに発表されていました。金額は1事業所あたり、利用者の数に応じ15万円から150万円としており、全額を事業所から従業員へ支払うように求めているようです。

しかし介護事業大手であるニチイ学館は、全国の従業員に慰労金を支払っているためこの給付金は申請しないと決めたとしています。

福岡市は、対象となる7千の事業所に申請書を送っており、2020年6月12日時点ですでに8割近くから返送されているようです。

給付金の申請を行わないと決めたニチイ学館は、事業所ごとに所属している方の人数が異なるため、仕事内容は同じなのに受給額に差が発生すると公平性を保てなくなることを理由としています。

しかし実際に介護現場で働く方からは、利用者との接触を避けることができない状況に置かれており、福岡市から支援してもらえることをうれしく感じていたのに…と残念に感じている声もあります。

他にも、不安を抱えながら働き続けることへの報いを給付金という形で受け取ることができると喜んでいたのに納得できないといった声も出ているようです。

個人が望んでも事業所が申請しないという判断のようですが、給付の対象となるのはあくまで従業員なので、リスクの高い現場で働く方への感謝の気持ちを給付金という形で示すためにも申請してほしいとしています。

個人申請にすれば従業員であることを証明するまで時間のロスが発生してしまうことを考え、遭えて給付金がスムーズに渡せるように事業所ごとの申請方法を取ったようですが、反対に給付金を従業員が受け取れない事態が発生してしまいました。

あくまでも給付申請は使用者を窓口として通しているだけで、労働者の受給権を使用者が制限することは適切ではないという指摘もあるようです。

新型コロナウイルスで労働者も事業者もいろいろなリスクを抱えることとなっていますが、手元のお金が不足すればどうしようもありません。労働者に対する事業者側の配慮も必要となりますし、そのために何ができるのか給付金などの制度も有効に活用して考えていかなければならないといえるでしょう。