新型コロナによる企業の倒産ドミノが続く?企業を救うために必要なこと

2020年に流行が始まった新型コロナウイルス感染症の影響により、倒産する業種や企業が増えている状況です。観光客の急減や外出自粛などで影響のあった旅館・ホテルなどの宿泊業やレジャーなどのサービス業、その他飲食店やアパレル業などで多くの件数が倒産や廃業に追い込まれています。

新型コロナウイルスの影響で倒産した会社などはいずれも生活に直結する業種ばかりで、倒産件数の増加は運輸・輸送・製造業などにも波及すると予測されます。

レジャー産業なども新型コロナウイルスの影響が大きくあらわれ、ディズニーランドなど遊園地なども大型連休に休業するといった事態に追い込まれることとなりました。新型コロナウイルスによる休業要請や外出自粛により、営業を停止していた店舗や施設などは、今後その影響が大きくあらわれ倒産に至ってしまうとも考えられるでしょう。

今回の新型コロナウイルスそのものが影響し、業績不振となって債務を支払うことができず倒産する会社もあれば、負債はないのに経営者自らが休廃業または解散してしまう例も考えられます。

特に中小企業では、新型コロナウイルス前から経営者の高齢化と後継者不足に悩んでいたことに加え、消費税が増税されたことで苦しい状態でした。そこに新型コロナウイルスが追い打ちをかけることとなり、事業継続を断念し倒産するケースが増える場合もあるとみられています。

 

新型コロナでどのくらいの倒産件数が発生?

東京商工リサーチによる全国企業倒産速報を確認すると、2020年4月の倒産件数は743件で、前年同月と比較すると15%増えています。

4月は新型コロナウイルス感染拡大を伏せるための緊急事態宣言が発令され、事業がストップしてしまったことなどその影響は大きかったといえます。

将来を悲観して廃業を選択した隠れ倒産というケースも多く、データによる数だけでは判断できない部分もあることでしょう。大手の大企業などを含め、企業の倒産が本格的にはじまるのはこれからとも考えられます。

帝国データバンクでも、2020年に負債1千万円で法的整理を行う倒産件数は7年ぶりに1万件を超えるのでは?と見通しているようです。

自主的な休廃業は倒産件数としてカウントされませんが、こちらは2万5千件ほどになるのではと見込んでいるとしています。

このまま相次ぐ企業の破綻や休廃業などで、職を失い働く場を探さなければならない方が増えることも予想されます。

2020年5月21日段階の新型コロナによる倒産件数

新型コロナウイルス感染症の影響により、売上減少などで破産など法的手続きに至り倒産してしまった企業は、2020年5月21日午後4時の段階で全国108社でした。

それに加え事業停止などで弁護士に手続きを委任し、法的整理の準備段階である企業は66社だったので、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で倒産した会社は174社という件数に至りました。

この倒産件数には、2020年5月15日に民事再生法を適用させるため裁判所に申請を行った老舗アパレル企業の大手、レナウンも含まれています。

旅館やホテルなどの業種がもっとも多い35社で、次に多いのはレストランや居酒屋などの飲食店で21社、あとはアパレル業などの小売店14社に食品製造業13社と続きます。

緊急事態宣言解除により、従来の日常が少しずつ取り戻されつつある中で、倒産件数は確実に増え加速している状況です。

大手企業が新型コロナウイルス感染症の影響で経営破綻したことに伴い、今後は関連する企業や業種が連鎖倒産してしまう可能性も否定できないといえるでしょう。

 

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新型コロナをきっかけに自主的に廃業を選択する事業者も増える可能性

新型コロナウイルスによる倒産は中小企業だけの問題と考えてしまう方も少なくなかったでしょうが、大手アパレル企業のレナウンが経営破綻したことで上場企業も他人事ではなくないと改めて危機感を抱くことになったでしょう。

今後、好転する材料は極めて少ないと考えられると、さらに倒産してしまう企業件数は増加すると考えられます。

経営危機に直面していないものの、これから新型コロナウイルスの影響が顕著にあらわれるのなら…と、コロナをきっかけに廃業を選ぶ早期リタイア企業も増える可能性も危惧されています。

経営者の高齢化や後継者不足で技術やノウハウが引き継がれることはなく、続けて事業を営みたくても廃業するしかないと、業績には関係のない状況でリタイアしてしまうという問題も発生してしまう可能性があります。

新型コロナウイルスにより、今後、景気はさらに後退すると考えられます。それにより中小だけでなく大手を含む、多くの企業が業績低迷という問題を抱えることとなってしまうでしょう。

2025年にはすべての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本は超高齢社会へ突入することとなります。

医療費や社会保障費用の負担が大きくなるのに加え、少子化による働き手不足などの問題はさらに大きくなっていくはずです。

 

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国や自治体の政策は本当に有効か

新型コロナウイルス感染症による倒産や早期廃業を避けるため、重要となるのは国や自治体の政策です。

2020年2月以降は、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた事業者に向けた緊急融資や持続化給付金など、支援施策も制度として導入されました。融資をはじめとし、給付金や補助金、減税や出資など支援策は様々です。

いずれも企業や個人事業主などが倒産や廃業に追い込まれることや、それによる失業者を増やすことを阻止することを目的とし、そのために融資や給付金などで資金繰りをサポートするという内容です。

倒産を防ぐための融資や給付金

ただし緊急融資や持続化給付金などを例にみると、売上減少など経営状態が悪化していることに加え、今後も事業を継続する意思があること中長期的に業況が回復し発展が見込まれることが必要です。

それでも政府は金融機関に対し、事業者の資金繰りを緩和させるため迅速・丁寧に取り組むよう強く要求しており、金融機関側も信用度が低い企業などにも比較的融資に応じています。

持続化給付金では申請の段階で本当に事業を継続しようとしているのか、意思表示のみで確認されるためその真偽まで確かめようがない状況です。

そのため一時的に経営状態が悪化してしまった企業を支援するはずだったものが、倒産危機にあるすべての企業を救うための施策となっているといえるでしょう。

事業をたたむ件数は抑えることができたとしても

持続化給付金などは申請の段階で不審な部分が確認できれば調査の対象となるとしています。しかしその不正が明らかなものではなく、計画倒産などで事業をたたんでしまったとしても、事業を続ける意思はあったのに倒産してしまったと伝えられれば不正を追及することはできないと考えられます。

そして緊急融資の中でも無担保融資に殺到するのは、すでに借金を抱えているため取引銀行などから追加融資を受けることができず、資金繰りに困窮している信用度が低い企業などです。

そもそも信用度が低い状態なのに融資により貸し付けを行えば、大量の不良債権が発生してしまうとも考えられるでしょう。それにより、体力が弱い地方銀行などの金融機関を中心として、影響が出ることも予想されます。

 

リスクを留意しながら経済活動を再開させることが必要

日本はIT化やグローバル化に乗り遅れているため、1人あたりGDPなどの指標を確認すれば、先進国としての立場から転落している状況です。

構造改革を迫られている状況でありながら、すべての企業を救うための施策により、融資が不良債権化され財政支出は今後も増大すると考えられます。

大切なのは売上を回復させて倒産を減らすことを目的に、新型コロナウイルス感染症のリスクに留意しながら経済活動を本格的に再開させることです。

販路開拓・新サービス創造・有効な資金繰りや資金調達方法など、前向きな事業活動を始めていくことが必要といえるでしょう。

 

まとめ

今は支援策となっている融資や給付金も、短期的に見ればメリットですが将来的には大きなデメリットと考えられます。構造改革が遅れる中で不良債権が多く発生すれば、財政は問題を抱えることとなり今後はさらに増税される可能性もあるからです。

中長期的に問題が表面化し、倒産件数が増えるなど深刻な問題へと発展する可能性も懸念されます。ただ、今を乗り切らなければどうにもならないのも事実で、その日その日をクリアしなければならない状況で長期的なことまで考えられないのも事実です。

それでも目先のメリットばかりにとらわれてしまえば後々苦労することが目に見えているので、借金を増やさない資金調達の方法や円滑な資金繰りに改善させる方法を検討することが必要になります。

もし誰に相談すればわからないときや、新型コロナウイルス感染症により制度として設けられている融資や給付金の対象とならず、資金調達の方法が見出せない状況なら一度コンサルタントに相談してみてください。

資金繰り改善には短期のメリットも享受しつつ、長期的なデメリットを克服させる資金繰りについて知ることが大切ですので、そのために有効なアドバイスを受けることを検討してはいかがでしょう。