事業再生の流れで事前に把握しておきたいポイントとは


事業再生は、事業実態を維持している期間中に行うことが必要であるため、その流れとスピード感が重要となります。

企業の血液ともいえる資金が底をつく前に行うことが必要なので、事業再生を行うときには流れを事前に把握しておくようにしましょう。

そこで、限られた時間の中で事業再生に向け、何を行わなければならないのか、そのために必要な準備など主な流れについて説明していきます。

 

事業再生の一般的な流れ

事業再生の流れとして、資金繰りや債権者の状況などで前後することや省略されることはありますが、一般的に次のことを行います。

  1. 実態を把握する
  2. 再生方針を策定する
  3. 事業計画案を作成する
  4. 資金を確保する
  5. スポンサー候補企業を獲得する
  6. 再生手続の準備を行う
  7. 再生手続を開始する
  8. 再生手続実行と終了

それぞれ詳しく説明していきます。

1.実態を把握する

会社が倒産状態になったときには、

  • 財務内容
  • 資金繰り
  • 銀行ごとの借入金残高と担保状況

などを確認し、まずは現状を正確に把握しましょう。

  • 資産や負債の状況
  • 売上規模
  • 損益状況
  • 事業収支
  • 銀行数と取引金額

などを確認し、なぜ倒産に至ったのかその原因や、将来の事業の見通しなど分析していきます。

2.再生方針を策定する

会社の財務状況や資金繰り表などから、債務免除を受けなくても再生できるか判断します。

銀行にリスケジュールを依頼しただけでは資金繰りを改善させることができずに債務免除を必要とするのなら、どの再生手法で再生を図るか方針を決めていくことが必要です。

3.事業計画案を作成する

財務内容から再生後の事業計画案を立てていきますが、収益力のある事業は残し、赤字事業は廃止するなど収益改善を図ることのできる事業計画書の作成が必要です。

3年くらいの売上と利益を予想し、その推移を明確に記載することが必要となります。

なお、債務免除を受ける場合でも、スポンサー企業を確保するためのプレゼンテーション資料として事業計画書の作成は必要になります。

赤字続きや債務超過の企業でも、事業計画書を作成することで融資を受けることが可能となるケースもあるため、将来性を見込める計画を立て作成することが必要といえます。

4.資金を確保する

債務免除を受けず再生できると判断するのなら、新しく融資を受けて資金を調達することを目指した交渉が必要です。

交渉相手はもちろん金融機関ですが、融資が実現しそうにないときや債務免除という判断がされたときには、リスケジュールで資金確保することを目指した交渉が必要になります。

リスケジュールしても資金繰りが改善できないときには、支払い金額の大きい取引先に支払いを延長してもらうよう交渉することも必要になるでしょう。

5.スポンサー候補企業を獲得する

事業継続で再生していくためには、信用力回復と資金確保に向け、資金力や信用力のあるスポンサーから信用供与してもらうことが必要です。

再生中に資金不足に陥ってしまう場合はスポンサーの支援は不可欠となるため、候補企業を獲得するようにしましょう。

6.再生手続の準備を行う

債務免除で再生する際に中小企業再生支援協議会を利用するなら、協議会やメインバンクに初期相談をして、私的整理ガイドラインに基づいた処理をしてもらうことが必要です。

再生の可能性が認められれば、協議会やメインバンクから支援を受けながら、再生計画案の作成を行っていきます。

法的再生による方法を実行するのなら、手続申立てに関する資料(再生手続開始申立書・事業計画書・債権者一覧表・資金繰り表など)の作成が必要です。

なお、売掛先の倒産で連鎖倒産してしまうリスクの高い買掛先に対する支払いなどは、可能な限り配慮をしなければなりません。

7.再生手続を開始する

私的再生では、再生計画案作成後に債権者に対し、再生に至った経緯と今後の説明や謝罪をし、理解と承認を得ることが必要です。

法的再生の場合には、再生手続開始申立後に、従業員や債権者に再生に至った経緯と今後の説明・謝罪をして、理解を得ることが必要になります。取引先にも同様に説明を行い、再生に向けて協力してもらえるように、取引関係を継続してもらえるようにお願いしましょう。

その上で債権や財産状況の調査などを行い、今後の事業・弁済計画を基盤とした再生計画案の作成と、債権者から承認を得ることも必要です。

8.再生手続実行と終了

承認を得ることができた再生計画案に基づき、実際に再生手続を実行していき債権者に弁済され、再生手続は終了という流れになります。

 

事業再生で経営者が退任しなければならないケースもある

事業再生は、会社が倒産状況に陥ったときに事業を見直して、不採算事業を切り捨てるといった改革を行い経営の安定化を図っていきます。

清算型といえる倒産手続や再建型に該当する民事再生手続などもありますが、事業再生では会社をたたむ必要はなく、経営者が交代する必要もありません。

ただしこれまでの経営体制は変えなければならないため、債権者に協力してもらうことが必要となり、時には社長の退任など必要となるケースもあると留意しておきましょう。