資金繰りを安定させるためには何が必要?

借入金の返済額が大きくて、営業で利益が出ても返済に充てて終わってしまうということはないでしょうか。
返済が厳しいと資金繰りが悪化することになりますが、企業存続のためには資金繰りを安定化させることが必要不可欠です。

手持ちの現金は多いほうが良い
資金繰りを安定させるために、手持ちの現金を多くしていく必要があります。
いくら売上があがったとしても、結局現金が手元になければ借入金の返済や仕入れ代金、その他経費の支払いなど何もできません。
仮に業績が悪化して資金が必要になった時には金融機関に相談に行けば良いと考えている経営者もいるようですが、実際資金繰りが悪化した時に金融機関からお金を借りることは困難です。

金融機関から融資を受けるには融資可否の判定基準に注意
もし金融機関から融資を受けたいのでれば、金融機関が融資の可否判定を行う判断基準となる簡易キャッシュフローと実態債務超過の有無、債務償還年数について注意しておく必要があります。

・簡易キャッシュフロー
「税引き後利益+減価償却費」のことで、これにより企業の返済能力が判定されます。過大もしくは過少な役員報酬の場合には、生活費などを考慮した上で修正する必要があるでしょう。

・実態債務超過
債務超過に陥っていないかどうかを見る指標ですが、貸借対照表を基にして、実質資産性のない資産、資本とみなすことが可能な負債などを修正した上で判定されます。
修正される資産項目は、回収できない売掛金や仮払金、貸付金、そして資産性がない在庫、固定資産の償却不足などです。負債項目は役員からの借入金が該当します。

・債務償還年数
簡易キャッシュフロー全額を返済に充てた場合、何年で完済できるかを見る指標です。有利子負債の額を簡易キャッシュフロー割って算出した数(債務償還年数)が、10年以上なら借入過多と判定されます。

事業の成長の可能性も検討の視野に?
ただしこれらは従来の融資可否においての判断基準であり、現在では事業内容や成長の可能性なども評価した上で、融資に対する検証が行われている傾向にあります。
金融機関から適正な評価をしてもらうためにも、資金繰り表などを作成して資金不足に陥る前段階を把握し、資金繰りが悪化する前に運転資金の融資を申し込むといったことも検討しましょう。

資金繰り安定には利益を上げることが絶対条件?
利益が増えれば入出金のタイミングはズレるとしても資金は増加することになります。
利益を上げるためには売上と粗利率(商品の売価に占める利益の割合)を上げること、そして固定費を削ることが必要です。
ただし売上は全て現金で入金されるわけではなく、一般的には売掛という形になるでしょう。そのため売掛代金が入金されるまでの間で、資金繰りが悪化するという点を回避することも必要です。

専門家に相談した上で資金繰りの改善を
いずれ入金される予定のある売掛代金が入金されるまでの間で資金ショートを起こしてしまえば、せっかく利益を上げる努力をしても水の泡です。
例えば今どのようなことが原因で資金繰りが悪化しているのか、資金調達方法にはどのような手段があるのか、また、流れを改善させるための方法など専門家の意見などを聞きながら対策を講じていくことが必要かもしれません。