不動産業におけるファクタリングのメリット・デメリットと活用事例

数ある業種のうち、不動産業はファクタリングとの相性が良い業種といえます。

その理由として、ファクタリングでは売掛金を現金化する資金調達方法であるのに対し、不動産業の保有する売掛債権は比較的優良なものが多いからといえるでしょう。

さらに不動産産業特有といえる資金繰りの事情からみても、ファクタリングは有効な資金調達方法になることは間違いありません。

そこで、不動産業におけるファクタリングのメリット・デメリットを説明し、実際に活用した事例なども紹介していくので、ぜひ資金調達方法として選ぶべきか判断の参考にしてください。

不動産業の資金繰り事情

不動産業は、他業種と異なる特有といえる資金繰りの事情を抱えています。

主な事情として挙げられるのは次の3つです。

  1. 回収サイトが短め
  2. 融資を受けやすい
  3. 景気悪化で資金繰り困難に陥りやすい

それぞれの事情について説明していきます。

回収サイトが短め

回収サイトとは、売掛金が発生してから入金されるまでの期間ですが、不動産業は他業種よりも比較的短めです。

特に拡大戦略などで売上が順調に伸びているときは、売上を増やすための仕入れも必要となってしまい、まだ回収していない売掛金を増加させます。

ただ、不動産賃貸業などは入居者から賃料を1か月ごとに受け取ることとなるため、2か月かかる業種などと比較すればスムーズに現金を受け取りやすい業種といえるでしょう。

融資を受けやすい

不動産業で収益源となるのは「不動産」ですが、たとえば銀行から融資を受けるときに担保として不動産を差し入れれば借入れしやすくなります。

しかし業種によっては、不動産を保有しておらず銀行から融資を受けることができない場合もあるため、不動産担保融資が使える不動産業は比較的融資を受けやすい業種といえるでしょう。

ただし個人が行う不動産賃貸業の場合が、運転資金を借入れようとしても融資を受けることができないケースは多いといえます。

その理由として、そもそも賃貸物件を取得するとき担保を設定していることや、運転資金は家賃収入で補填することが基本であることが関係します。

賃貸物件を取得する際の事業計画も上記の内容で作成されることになるため、別途運転資金の借入れが必要であることは当初立てた事業計画どおりに経営できていないことを意味することになり、銀行も貸し付けを渋るようになるからです。

景気悪化で資金繰り困難に陥りやすい

不動産業は景気悪化で資金繰り困難に陥りやすい業種です。

景気が良好であれば不動産価格も高くなり、担保価値も上がるので融資を受けるときも資金調達しやすくなります。

しかし景気が悪化すれば不動産価格も低くなるため、担保価値も下がり資金を調達しにくくなるでしょう。

不動産業のファクタリング利用におけるメリット

業界特有といえる資金繰り事情を抱えている不動産業ですが、ファクタリングを資金調達に利用することには次の4つのメリットがあります。

  1. 回収サイトを超短期化できる
  2. 未回収リスク回避で実質利回りを維持できる
  3. 好条件によるファクタリング利用が可能
  4. 個人の不動産経営者も活用できる

それぞれのメリットについて説明していきます。

回収サイトを超短期化できる

ファクタリングは保有する売掛金を売却して現金化するサービスですが、本来受け取る予定だった期日を前倒しできるため、回収サイトが短くなります。

そもそも不動産賃貸業などは、入居者が支払う家賃を1か月ごとに受け取ることができるため、回収サイトは1か月と短めです。

しかしファクタリングを利用すると、回収サイトを1か月未満にまで短くすることができるなど、超短期化できることがメリットといえます。

不動産業でファクタリングを利用する場合、利用者とファクタリング会社のみで契約する「2社間ファクタリング」が基本となります。

2社間ファクタリングは売掛先に対する通知や、承諾を得るという手続が不要のため、ファクタリング会社によっては即日現金化できるなど資金調達まで時間がかかりません。

たとえば賃貸物件の設備トラブルなどがあり、早急に対応することが必要なのに手元に資金がないという場合などでも、売掛金を即日現金化することで回収サイトを超短期化して手元の資金を増やすことが可能です。

未回収リスク回避で実質利回りを維持できる

ファクタリング会社に保有する売掛金を売却したとき、未回収リスクも同時に移転されます。

売掛債権が回収できなくなり、貸し倒れとなる未回収リスクを回避することもできますが、それと同時に実質利回りを維持できます。

ファクタリングで売掛金を現金化した後、もしも債権の回収ができなくなったら買取代金を返さなければならないのではないかと不安を感じる方もいることでしょう。

しかしファクタリング会社に売掛金を売却し買取代金を受け取った後で、家賃の入金がなかったり取引先から支払いがなかったりしても、その責任や損失はすべてファクタリング会社が負担します。

不動産賃貸業の場合、収益は賃料収入に依存することになるため、家賃が未入金になると実質利回りを低下させ投資効率は悪化してしまうでしょう。

法律でも貸主よりも借主を保護する内容となっているため、入金遅れの家賃を簡単に回収できるだけではありません。

このような場合でもファクタリングをファクタリング活用することで、未回収リスクを回避し経営を安定させることができます。

好条件によるファクタリング利用が可能

不動産業は売掛金を多く保有している業種といえますが、ファクタリング利用の際にも好条件で契約を結びやすいといえます。

そもそも不動産業の売掛金は未回収となるリスクが低めです。

たとえば不動産賃貸業であれば、売掛先は入居者となるため、特別な事情がなければ毎月支払われるでしょう。

不動産管理業で仲介や管理を業務とする場合でも、売掛先は不動産オーナーのため物件の収益維持に向けて動いてくれる不動産管理業者は経営パートナーと考え、遅れずに支払いをくれるケースがほとんどです。

未回収リスクが低い売掛金が多い不動産業は、ファクタリング会社からみれば優良顧客であるため、好条件で契約できる可能性が高いと考えられるでしょう。

個人の不動産経営者も活用できる

不動産業を営んでいるのは、法人だけでなく個人というケースもあります。

特に日銀のマイナス金利政策以降、銀行も不動産購入資金を貸し付けるアパートローンなどに積極的になり、個人で不動産投資を始める方も増えました。

しかし個人の場合、法人と違って資金力は十分といえず、資金調達方法も限られるため資金繰りが困難になりやすいといえるでしょう。

銀行から融資を受けたくても、社会的な信用力も低いとみなされてしまい、すぐにお金を借りることができるとは限りません。

しかしファクタリングなら、個人の不動産経営者も利用できる資金調達のサービスのため、資金繰りを改善させることができます。

ただしどのファクタリング会社でも個人事業主も申し込み可能であるわけではないため、必ず事前に確認した上で相談するようにしましょう。

不動産業のファクタリング利用におけるデメリット

不動産業の資金調達方法として、ファクタリングには様々なメリットがあります。

しかし、次の3つのデメリットには注意した上で資金調達に利用するようにしましょう。

  1. 資金調達コストが高い
  2. 2社間ファクタリングに限定される
  3. 調達額が限られる

それぞれのデメリットについて説明していきます。

資金調達コストが高い

ファクタリング利用の際には手数料がかかりますが、不動産業の場合は好条件で契約できることが多いため、他業種よりは比較的安い手数料が設定されるでしょう。

ただし銀行から融資を受けるときよりは、資金を調達する上でかかるコストが高くなってしまいます。

仮に不動産を担保に銀行から融資を受けた場合、年利1~2%の金利で借入れができることが多いでしょう。

1千万円借入れた場合でも、年利2%の金利なら利息は年20万円です。

対するファクタリングの場合、2社間ファクタリングの手数料相場は売掛債権額面の10~20%が相場であるため、10%で1千万円調達すれば手数料は約100万円になってしまいます。

2社間ファクタリングに限定される

ファクタリングによる契約は、先にのべた利用者とファクタリング会社のみで契約する2社間ファクタリングと、売掛先も契約に加わる3社間ファクタリングがあります。

この2つの契約のうち、手数料を安く抑えることができるのは3社間ファクタリングで、相場も1~9%と割安です。

しかし不動産賃貸業などの場合、売掛先は賃貸物件に住む入居者であり、債権一件ごとの金額も少ないため複数債権をまとめて売却し現金化します。

たとえばAハイツという賃貸物件を運営している場合、その物件の入居者の債権をまとめて売り、お金に換えるイメージです。

仮にこのケースで3社間ファクタリングを利用すると、入居者それぞれに債権譲渡通知を行い、承諾を得た後で入居者を含めて契約を結ぶことになります。

大型の物件の場合、すべての入居者に通知をすることも承諾を得ることも現実的ではないといえるため、2社間ファクタリングを利用することとなるでしょう。

状況やニーズに応じて、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングを使い分けることができれば、よりファクタリングをうまく活用できますが、不動産賃貸業の場合は2社間ファクタリングに限られると留意しておいてください。

調達額が限られる

ファクタリングは売掛金を現金化する資金調達の方法のため、調達できる金額は売掛債権額面までに留まります。

ファクタリング会社に支払う手数料分、売掛債権額面の満額は受け取ることができず、さらに額面を超える金額の調達はできません。

たとえば不動産賃貸業を営み、自社の賃貸物件Aハイツで毎月100万円の家賃収入を得ているとしましょう。

このAハイツの売掛金100万円を手数料率10%でファクタリングにより現金化すると、調達できる金額は90万円です。

手数料がさらに低い場合でも、売掛金100万円を超える金額を調達することはできません。

賃貸物件にありがちな設備トラブルなどが発生すると、突発的に多額の資金が必要になってしまいます。

手元に余裕資金があればすぐに対応できますが、なければ何らかの方法で資金を調達し対応しなければ、入居者は不満をつのらせ退去してしまう可能性もあります。

このような場合でも、保有する売掛金の範囲でならファクタリングですぐに資金調達できますが、売掛債権額面を超える金額はファクタリングでは調達できないと理解しておいてください。

不動産業の資金繰り改善にファクタリングを選ぶべき理由

 

回収サイトが他業種よりも短めで、景気が良好になれば資金調達環境にも良い影響が及びやすいのが不動産業のメリットです。

しかし、突発的な出費などが発生しやすく、不景気になれば途端に資金調達環境が悪化してしまいます。

さらに不動産を扱っているエリアや運用する不動産の状態などで資金繰りの事情も変化することとなり、空室対策に向け不動産仲介業者に多額の広告料が発生することや、建物老朽化による修繕の発生などで資金繰りが危うくなるケースもめずらしくありません。

銀行から融資を受けて資金を補填する場合でも、業績を伸ばすための投資資金ではなく、マイナス事象に対する資金負担のため、前向きに貸し付けを検討してくれるとも限らないといえるでしょう。

もしも銀行から融資を受けることができず、手元のお金は不足したままという状態に陥れば、保有する資産を売って資金を調達することが必要となります。

ただ、売却対象となる資産として真っ先に思い浮かぶのは「不動産」ですが、不動産業の場合は収益源であり、売ってしまえばその後の収益も危ぶまれる状態に陥ります。

そのような場合、資産の中でも「売掛債権」を選び、現金化することで安心して手元の資金を増やすことが可能です。

不動産業では、賃貸物件の入居者が支払う予定の賃料や、オーナーから受け取る予定の管理費や仲介手数料などの債権が売却対象となります。

これらの債権をファクタリングで現金化することにより、借金をせずに突発的な支払いなどに充てる資金を調達できます。

不動産業のファクタリング活用事例

実際に不動産業でファクタリングを活用した場合、どのような

不動産業の中には、自社が建設したアパートやマンションの賃貸や分譲、不動産仲介などを行う不動産管理業などもあり、ときには中古物件を購入しリフォームやリノベーションして販売することもあります。

不動産管理業を営むA社様もこのケースで、一戸建てを売却したいという顧客の物件を買い取るための資金が必要なものの、新たなマンション建設ですでに銀行から融資を受けており、追加融資は厳しい状態だったようです。

すでに販売済の土地代金が入金される予定はあるものの、入金まで半年ほど待たなければならず、動かすことができる手元の現金が不足し何とかして資金を調達する方法を模索していました。

そのとき、同業者の知人からファクタリングによる資金調達方法を教えてもらい、自社が経営しているアパートやマンションの家賃を現金化する方法を選択し、2社間ファクタリングで資金調達することに成功しました。

現金化による資金で一戸建てを買い取り、リノベーションするとすぐに売れたそうです。

一戸建ての買取金額・リノベーション費用・ファクタリング手数料の負担はあっても、その合計を上回る金額で物件が売れたため、十分な利益を得ることに成功できています。

手元の資金が不足していることを理由に、一戸建ての買い取りをもしも断っていたら、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまったといえます。

しかしファクタリングを利用することで、ビジネスの機会を失うことなく、会社の利益向上につなげることに成功することができたといえるでしょう。

まとめ

不動産業は売掛金を多く保有することとなり、回収するまでの期間で手元の資金が不足しがちです。

さらに取り扱う金額も大きく、「売掛先が前倒しで入金してくれたら…」と考えてしまうこともあるでしょう。

そのような場合、ファクタリングを利用することですぐに手元の現金を増やすことができます。

目の前にビジネスチャンスがあっても、自由に動かすことができるお金がなければあきらめるしかありませんが、マンションやアパートの家賃収入などもファクタリングに活用することができるためあきらめる必要はなくなります。

特にファクタリングの中でも、2社間ファクタリングは早ければ即日現金化できるスピード感のある調達が可能です。

もしも不動産業で手元の資金不足で悩んでいることがあれば、ファクタリングによる資金調達を検討してみることをおススメします。