ベンチャー企業の資金調達とは。融資・出資を中心に紹介

ベンチャー企業にとって「いかにして資金調達をするか」は悩みの種となりやすいのではないでしょうか。ベンチャー企業が資金調達する方法は、大まかにわけると融資・出資・その他の3つです。

ここでは、ベンチャー企業が資金調達する方法や、代表的な申し込み先とそれぞれの特徴を紹介します。

ベンチャー企業の資金調達方法1.融資

ベンチャー企業が資金を調達する1つ目の方法が、融資を受けることです。しかし起業したてで経営が安定していなかったり、十分な実績がなかったりする場合、銀行からの融資を得るのは容易ではありません。

民間の金融機関から融資を得にくい場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会の融資を視野に入れて検討しましょう。

日本政策金融公庫

株式会社日本政策金融公庫とは日本政策金融公庫法にもとづいて設立された財務省管轄の特殊会社であり、中小企業や農林水産業者などへの資金調達支援を行っています。

さまざまな融資制度を設けておりますが、ここでは「新創業融資」をご紹介します。

「新創業融資」とは、事業を始めて一定期間を経過した事業者向けの融資制度です。この制度への申請が通った場合、最大3,000万円までの融資を受けられます。民間の金融機関と比べると審査に通りやすく、最短2週間で資金調達できることがメリットです。また、担保や保証人が不要のため、ベンチャー企業でも気軽に利用できます。

日本政策金融公庫を利用するときは、申請する融資制度によって対象や満たすべき要件、融資可能額が大きく異なる点に注意しましょう。

信用保証協会

信用保証協会とは信用保証協会法にもとづいて設立された公的機関で、中小企業が資金調達しやすいように信用保証を担います。

各都道府県に1か所ずつ設置されており、創業して間もないベンチャー企業や中小企業も、融資を依頼する際に必要である信用保証を利用できます。ただし、利用するには保証料が必要です。

無担保保証の場合、限度額は8,000万円とされていますが、創業融資など企業の状況によって多少変動します。

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ベンチャー企業の資金調達方法2.出資

融資を受けるほか、出資で資金調達する方法もあります。企業や個人投資家に依頼する方法に加えて、ベンチャーキャピタルも出資の一種です。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは将来成長していく企業に対して、自社の資金を供給しながらベンチャーキャピタルが保有する経営ノウハウや人的ネットワークなどを活かし経営支援を行う組織です。

企業の成長段階で必要な調達資金の額はそれぞれですが、起業したばかりの企業に対して出資するベンチャーキャピタルもあれば、成長した段階で億単位という出資を行うベンチャーキャピタルも存在します。

ベンチャーキャピタルが出資をする理由として、出資した企業がほかの企業に自社を売却した際に出る売却益、そして出資した企業が株式市場に上場したときに生じる売却益を目的としています。

将来有望な企業が小規模のときに出資し、規模が拡大されて成長していくとそれに伴い株価が上がることを期待しています。最終的には安く購入した株式を高く売却し、利益を得ることが目的です。

投資を行うかどうかは利益率などを中心に、現在の会社価値と今後の将来性などを踏まえた上で検討していきます。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるときには、企業の成長段階でラウンドやシリーズという区分に分類されます。

区分は、シードラウンドからシリーズA、B、Cと上がることになりますが、それにつれて必要な資金額も増え、要求額に伴いベンチャーキャピタルからの出資額も増えることになります。それぞれの区分がどのような段階にあるのかを理解しておくようにしましょう。

・シードラウンド

創業して初めて出資を受ける段階で、起業資金になるケースも多くあります。シードラウンドで資金を提供する人は、起業家を育成するプログラムなどを持っているところが多い傾向にあります。

投資額の相場は300〜500万円ですが、注意したいのはこの段階で10~20%以上の割合の株式を投資家に持たれるとその後のシリーズでの資金調達が困難になります。しかも経営権を行使することができなくなる事態も考えられますので注意が必要です。

・シリーズA

この段階からベンチャーキャピタルが登場しますが、前段階ではアイデアだったビジネスプランを実現させ、この段階で得る資金によりを使ってさらに一段と磨きを掛けて行くことになるでしょう。事業にとってより重要なものを見極め、それを深掘りしていくことが必要です。

・シリーズB

シリーズAで顧客の声に耳を傾けながら商品やサービスの改善を繰り返し、完成度が高まっている段階です。経営陣も創業者だけでなく、5人程までに増やし経営層を厚くしておくことも必要です。

将来性を強く意識しますので、事業の黒字化の優先度は低いと言えます。調達額の相場は3~10億円ですので、ベンチャーキャピタル1社からの投資を受けるというよりも、複数のベンチャーキャピタルが一緒に投資するといった形です。

・シリーズC

シリーズCの段階前に会社の売却や株式市場に上場するといったケースもあります。この段階以降での資金調達は、商品やサービスの質の向上や企業の方向性を強化し、加速度を早めることを目的に実施されることが多いようです。ただしシリーズBより黒字化が意識されることになります。

エンジェル投資家

個人投資家のなかでも、創業間もない企業に対して出資する層のことを、エンジェル投資家と呼びます。実績のない企業に出資する見返りとして、株式などを受け取って利益を得るのが一般的です。また、なかには企業や業界を応援したいという理由で出資を行う裕福層もいます。

融資ではないため、返済の義務は生じません。エンジェル投資家の意向によっては、経営に関するアドバイスを提供してくれたり、取引先を紹介してくれたりなどのメリットも期待できます。

ベンチャー企業の資金調達方法3.その他

融資と出資のいずれも厳しい場合や、より多くの資金調達を希望する場合は、そのほかの方法も検討しましょう。

そのほかの調達方法としては、近年個人から団体まで幅広い層の方たちが利用し、社会に浸透してきたクラウドファンディングや、国や自治体による補助金・助成金などがあげられます。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で幅広い層から資金調達する方法です。専用のサービスを提供しているウェブサイトを利用すれば、個人・法人を問わず誰でも出資を募れます。

効果的に資金調達するためにはただ出資を募るだけではなく出資者に興味をもってもらうことが大切です。事業についてアピールしたり、熱意を伝えたり、魅力的なリターンを用意したりと、資金調達につながるアクションが求められます。

募集時の設定によっては、目標金額に到達しなくとも調達できた資金を得られます。反対に、アピール方法次第で目標以上の資金を集められる可能性があるのも、クラウドファンディングの特徴です。

補助金・助成金

国や自治体が実施している補助金・助成金のなかには、中小企業や個人事業主など特定の層を対象としたものもあります。あくまで補助金あるいは助成金として支給される資金であり、返済する必要がないのがメリットです。

助成金や補助金はかなりの数がありますが、例として、経済産業省による「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」、東京都が設けている「創業助成金」制度があげられます。

制度の内容が似通っていても、募集元によって名称が多少異なります。助成を希望する場合は、事業所がある地域の自治体にどのような制度があるか確認しましょう。

まとめ 

ベンチャーキャピタルは単なるお金儲けではなく、社会の課題などを解消する企業の経営者に巡り合うことを望んでいます。これらのことも踏まえて、資金調達方法の1つとして理解しておくと良いでしょう。

自社に合った資金調達方法が分からないとお悩みの方は、ぜひPMGにご相談ください。PMGは担当者が現状を把握したうえで、専門知識にもとづいた提案をしております。

融資をはじめ、さまざまな資金調達の方法について対応しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。