事業資金を借り入れで調達するなら、返済までの流れをシミュレーションするなど、把握しておく必要があります。資金繰りが悪化している際には、とにかく資金を調達しなければならないということばかり意識が向いてしまい、調達後の事業の見通しや返済計画はおざなりになりがちです。
一時的に資金を補ってその場はクリアできたとしても、結局また資金繰りが悪化すれば意味がありません。借入から返済までのシミュレーションをしっかり行うことを心掛けるようにしましょう。
無理のない返済計画になっているか
事業資金を借り入れで調達するとき、どのくらいの金額が必要なのか、資金を何に充てるのかなどはもちろん、無理なく返済できる計画を立てておく必要があります。
そのため、資金を調達した後に事業をどのように進めていけるのか、どうすれば返済資金の源となる収益を生むことができるか、色々な角度から検証していくようにしましょう。
また、事業規模や経営状況、財務内容次第でどの方法を用いて資金を調達すればよいかは異なりますので、返済やキャッシュフローの計画をしっかり立て検討してください。
現在の支払いに返済負担が加わるシミュレーションを
材料や製品などの仕入代金、水道光熱費や家賃、人件費などの固定費、税金など、どれも滞ることなく支払わなければならないものばかりです。事業を営む上で必要な資金や支払いはこのようにいろいろあり、銀行などから借り入れをすればこれらの支払いに返済負担が加わります。
もし支払いが苦しくなり、滞れば会社としての信用を失って銀行から次の融資を受けることもできなくなるでしょうし、事業を継続することも難しくなる可能性が出てきます。
銀行から貸し倒れリスクが高いと判断されないことが重要
事業資金を借り入れで調達する場合、まずは銀行など金融機関の審査を通過することになります。いくら借り入れを希望するのか、金額が大きいほど返済や事業に対する計画の正確さが問われることになるでしょう。
この審査でもっとも重視されるのは、申し込み者に返済能力があるかです。銀行は貸したお金を返してもらえなくなることを最も避けたいので、貸し倒れリスクが高いと判断されれば融資は行われません。
実行できる資金計画になっているか、自社に返済能力があると判断できる内容になっているか客観的に判断してみましょう。
返済能力の有無を判断するなら
融資の希望額が返済額を上回ってしまうと借り入れはできなくなるので、返済能力の有無を判断したいなら、
税引き後利益+減価償却費
で、算出した金額が返済額を上回っているか確認してください。
売上が上がり、事業としては利益が出ている状態でも、それを上回る返済額の負担が必要となれば資金はいずれショートします。
月々の返済が財務にどのような影響を与えるのか考慮した上での計画を立て、シミュレーションするようにしてください。