民法の改正によって譲渡禁止特約が付帯された債権も売却可能に?


2017年5月の法改正によって、企業や契約ルールを定める債権関係の規定(債権法)に関しての法律が見直しとり、ファクタリングに大きく関係する債権譲渡禁止特約も改正されました。

この改正により、ファクタリングで資金を調達しようとする場合にどのような影響があるのか、その内容をご説明します。

 

債権譲渡禁止特約が付帯されていても安心?

それまでの民法では、もし債務者が譲渡を禁止する特約が付帯された売掛債権を譲渡しても、債務者の承諾を得ていないのなら譲渡そのものが無効となる扱いでした。しかし、改正民法によって譲渡を禁止している債権の場合でも譲渡は有効とされる扱いに変わったのです。

 

大企業にとって債権譲渡禁止特約は使い勝手のよい特約

債権譲渡禁止特約は、コンプライアンス厳守や債務管理において、発注者側からしてみれば使い勝手のよいものだとされています。

たとえばすべて支払い先をデータ化して、支払い手続きもシステム化している企業は、これまで取引のない企業に債権が譲渡されることによって、すでにデータ化している支払い先を変更しなければならなくなります。

支払いを変更するための稟議を回したり、債権譲渡を承諾する通知書に印鑑を押したりと、事務的な手間も増えます。また、債権を譲り受けた企業などが反社会的勢力ではないか調査するコストも発生してしまうので、特約として債権譲渡を禁止することを付帯しておけば問題なかったからです。

 

中小企業の資金調達にとっては大きな妨げ

現在、中小企業の多くは銀行融資を資金調達の方法として活用しにくい状況で、融資を受けることができるのはごく一部の企業に限られてしまっています。

不動産を担保に資金を調達することは可能かもしれませんが、それなら不動産ではなく、中小企業の多くが保有している売掛債権をもっと資金調達に活用できないかと国は考えたわけです。

しかし、その売掛債権に債権譲渡禁止特約が付帯されていると、中小企業は有効に売掛債権を使って資金を調達できなくなります。日本の企業の大半は中小企業ですので、積極的に資金が流れるように動いているといえるでしょう。

 

売掛先とのトラブルに発展しないために

民法改正により、法律上は譲渡禁止特約の付帯された売掛債権でも譲渡することが可能となり、ファクタリングにも有効に活用させることができるでしょう。

ただし、売掛先にも、債権譲渡禁止特約を抗弁という形によって主張することを可能とする権利は保証されています。

これによって、譲り受けた第三者が売掛先に対し支払い請求を行っても、元々の取引先と債権譲渡禁止特約を合意していたのだから、第三者に支払う必要はないと拒否することができます。

債権を譲渡して資金を得る企業にとっては資金調達が改善されるので、ファクタリング利用会社にとってはデメリットにならないとも考えられますが、いろいろと売掛先とのトラブルに発展する可能性もあるので注意しておく必要はあるでしょう。