裁判事例

正しい

売掛債権早期資金化サービスを

広めるために。

裁判を通じて、売掛債権早期資金化サービス事業の
正しさ、適切な対応、責任の範囲が明確になっています。
下記事件を参考にしながらわたしたちはこれからも
適切で正当な売掛債権早期資金化サービス事業を展開してまいります。

平30(ワ)32345号 不当利得返還請求事件
1 事案
 本件は、破産管財人が二者間売掛債権早期資金化を実質的に金銭消費貸借契約に当たるとして、利息制限法の適用又は類推適用により過払金の支払いを求めた事案である。
2 争点に対する判断
⑴ 二者間売掛債権早期資金化は実質的にも金銭消費貸借には当たらない
 主たる争点は、二者間売掛債権早期資金化が実質的に金銭消費貸借契約に当たり、利息制限法の適用又は類推適用を受けるかどうか、であるが、裁判所は、以下の3点を積極的な理由として挙げて、破産管財人の請求を棄却する判断を下した。
⑵ いわゆる「ノンリコース型」の契約書であったこと
 裁判所は、本件の売掛債権早期資金化業者の契約書の記載を指摘し、次のように判示している。
「債務者の不払による回収不能の危険は被告が負っていると認められるから,本件各取引は,借主が,債権の回収(弁済原資の調達)の可否にかかわらず借入額と同額について返還義務を負う金銭消費貸借とは性質が異なっており,債権譲渡であることを裏付けている」
 これは、売掛債権早期資金化業者が主張していた、いわゆる「ノンリコース型」(債務者による債務不履行があった場合でも,買主が売主に対して買戻請求その他の責任追及をできない構造)の売掛債権早期資金化取引であることを認めたものである。
⑶ 「二者間」の形式を採っていることは実質的に金銭消費貸借であったと認めるべき特段の事情に当たらないこと
 裁判所は、「二者間」売掛債権早期資金化、すなわち、第三債務者に対して債権譲渡通知をせず、客に債権回収業務を委託していることについて、次のように判示している。
 「債務者に対して債権譲渡通知をせず,アライバル及び近江機電が債権回収を行っていたことについては,取引先である債務者らに債権譲渡の事実が知られることによって,アライバル及び近江機電の経済的信用が低下することを防ぐための措置と解することができ,これをもって,本件各取引が実質的には金銭消費貸借であったと認めるべき特段の事情に当たるとはいえない。」
 これは、客において取引先に債権譲渡通知をされることなく資金調達をしたいという実務的なニーズがあることを認めたものと評価できる。
⑷ 債権の一部だけを買い取っていることは第三債務者の不払いのリスクを考慮してのものであること
 裁判所は、次のように判示して、債権の一部だけを買い取っていることを積極に理解している。
「本件各取引において,債務者の不払による回収不能の危険は被告が負っているところ,原告らが指摘する諸点のうち,被告が原告及びアライバルの有する債権の一部(一定の金額分)のみ買取対象としていたこと(甲9,弁論の全趣旨)は,むしろ,債権買取の可否を検討するに当たり,被告が上記危険を負担することが考慮された結果であると考えられ,そうであれば,譲渡代金額の決定に当たっても,上記危険が考慮要素になっていたことが推認される。」
3 講評
 二者間売掛債権早期資金化の合法性については、公序良俗に反するか、という段階と、利息制限法により過払請求が認められるか、という段階と、2段階に分かれるところ、ハードルの高い前者については認められた判例は皆無ですが、後者については、「金銭消費貸借に準ずる」としてこれを唯一認めた平成29年3月3日付けの大阪地裁の判例があります。しかし、同判例は、代金の一部しか渡していなかったという特殊事情があり、そのような特殊事情のない事案では、東京高等裁判所平成29年5月23日判決と同様に、「ノンリコース型」や「二者間」であることについて積極的に判断して後者についても合法であると判断される傾向があります。本判例もこの流れを踏襲しており、実務的に二者間売掛債権早期資金化が合法であるという評価が定着していること裏付ける判例と言えます。
 本判例で特筆すべきところは、債権の一部だけを買い取っていることを積極に理解している点です。これは、第三債務者の不払による回収不能の危険を売掛債権早期資金化業者が負っているという「ノンリコース型」の契約であることを前提とするものですが、「ノンリコース型」の契約かどうかについては、本判例では契約書の記載から判断されています。
平30(ワ)17313号 代理受領金支払請求事件
1 事案
 本件は、二者間売掛債権早期資金化において、売掛債権早期資金化業者が原告となり、集金額を支払わない客を被告として訴えた事案であり、これに対し、客は、二者間ファクタリグが違法な暴利行為に該当する金銭消費貸借取引であり、公序良俗に反し無効であると反論して争った。
2 争点に対する判断
⑴ 回収リスクを客が負担していたとは認めらない
 客は、売掛債権早期資金化業者に譲り渡した債権につき、その債権譲渡後も、回収リスクは依然として客が負担していたので、二者間ファクタリグは実質的に金銭消費貸借契約であると主張した。  しかし、裁判所は、「本件両契約には,被告が第三債務者である日本ファブテックないし大成建設からの集金ができなかった場合にまで,被告自身の資金により原告らに対する支払をなすべき義務を定めたと解しうる約定はなく,また,被告に本件両債権の買戻しを強制するような約定もないことが認められるところであり,本件両債権の回収リスクを被告が負担していた旨の被告の主張は採用することができない。」と判示し、客の当該主張を採用しなかった。
⑵ 集金業務委託は債権譲渡契約と両立する  客は、第三債務者からの集金義務が客に課されていたことからも、二者間ファクタリグの実質は金銭消費貸借契約であると主張した。
しかし、裁判所は、「集金業務を債権譲渡人に委託することで,第三債務者に債権譲渡の事実を知られないようにすることは,債権譲渡契約と相容れないものではない」と判示し、客の当該主張を失当であるとした。
⑶ 2割程度の割引率での買取りでは暴利行為に当たらない
 裁判所は、「回収予定額と代金額の差額を利息と見た場合にはその利率が年304%及び年745%にも相当するものであることは被告指摘のとおりである」としつつも、「集金業務を被告が行うことが併せて約定されており,集金後の原告らへの回収にリスクを伴う取引であったことを考慮すると,2割程度の割引率での買取りが暴利行為に当たるものとは必ずしもいえない」と判示し、そのほかに本件の二者間ファクタリグが公序良俗に反するものと評価する事情もないとして、客の主張を排斥した。
3 講評
 二者間売掛債権早期資金化の合法性が争われる場合、主として、⑴「回収リスク」を誰が負うのか、⑵「二者間」の形式を採ることが脱法的か、⑶手数料が暴利か、という点が問題となるところ、本判例は、正にこれらについて正面から答えたものです。
 上記⑴に関しては、第三債務者から回収できなかった場合に客にその回収リスクを負担させる構造になっていたかが重視されますが、その一つのメルクマールとして「買戻しの規定」の有無が挙げられます。本件でも同規定がなかったことが判示されていますが、二者間ファクタリグの合法性を認めた先例である東京高等裁判所平成29年5月23日判決においてもこの点が挙げられているので、まだそのような規定が入っている契約書を使用している売掛債権早期資金化事業会社は危険であるとも言うことができます。
 上記⑵に関しては、集金業務の委託については、取引先(第三債務者)に売掛債権早期資金化を利用していることを知られたくないという中小企業のお客様のニーズがあることは間違いありません。「二者間」にすることにつき顧客からの願い出があることは明らかになっていることが重要なポイントとなりました。
 上記⑶に関しては、上記⑵のとおり「二者間」とすることのニーズがあり、その反面、第三債務者から集金した顧客が使い込みをするリスクがあることから、「2割程度」の手数料も実務的に許容されていることを明示した判例であり、この点において先例として意義を有するものと言えます。
平30(ワ)13432号 過払金返還請求事件
1 事案  本件は、主位的に、二者間売掛債権早期資金化を実質的に金銭消費貸借契約に当たるとして過払請求を、予備的に、暴利行為であるとして不当利得又は不法行為に基づく請求を、それぞれ利息制限法所定の制限利率を超える部分につき求めた事案である。


2 争点に対する判断
⑴ 二者間売掛債権早期資金化は利息制限法1条の「金銭を目的とする消費貸借」とは明らかに法的性質を異にする取引である
 主位的請求に関して、本件の二者間の売掛債権早期資金化では基本契約と個別契約の形式を採っていたが、裁判所は、基本契約において「原告が被告に対して原告の有する債権を売却する取引を行うこととしてその一般的な条件を定めている」こと、実際にもその基本契約に従って個別契約が締結され、「原告と被告との間で対象債権を特定した上,売買代金額を合意して取引がされている」と認定して、「本件取引は,原告の有する売掛債権を被告に売買する債権譲渡取引であることが明らかであって,利息制限法1条の「金銭を目的とする消費貸借」とは明らかにその法的性質を異にする取引」と判断した上で、次の⑵ないし⑷のとおり、原告である客の主張を排斥した。
⑵ 第三債務者の信用状況について審査をしていたこと
 裁判所は、「本件基本契約において,原告は,被告に対し,本件債務者に関する資料及び情報,原告と本件債務者との過去の取引の状況の分かる資料及び情報の提供義務を負っていること(1条2項①及び②),被告は,平成29年2月10日,本件取引を開始するに当たって原告に対し,原告自身の財務状況等を示す資料とともに,本件債務者に対する直近の売上集計や今後2か月の売上見込み,月別の入金実績等の資料を持参するよう求めていたことが認められ,そうすると被告が本件債務者の信用状況について全く審査等を行わないまま本件取引を開始したものとはいい難い。」と判示し、客の信用状況のみを判断しているという原告の主張を排斥した。
⑶ 客が売掛債権早期資金化業者に支払っていた金銭は第三債務者から振り込まれた金銭であること
 裁判所は、「二者間」売掛債権早期資金化、すなわち、売掛債権早期資金化業者が客に対して譲渡に係る債権の回収事務を委託していたことについて、「上記原告が被告に対して振り込んで支払っていた金銭は,振込当日に本件債務者から原告に対して振り込まれた金銭であることが認められ,そうすると,上記金銭のやり取りから直ちに,原告及び被告間でのみ貸付けと返済が行われていたと評価することは困難であって,むしろ,原告が,被告から委託を受けた譲渡の対象債権の回収事務を遂行して回収された金銭を被告に支払っていたものと見るほかない」と判示し、金銭のやり取りが客と売掛債権早期資金化業者との間でのみされているという原告の主張を排斥した。
⑷ 売掛債権早期資金化業者が第三債務者からの回収リスクを負っていたこと
 裁判所は、「本件基本契約は,本件個別契約の締結後は,被告において本件個別契約に係る債権を債務者から回収するものとし,本件個別契約に係る債権の全部又は一部が債務者の債務不履行,支払不能又は支払停止により取立不能とされる場合においても,原告が本件基本契約に違反した場合を除き,原告は被告に対して何らの責任を負わない旨定めている」と認定し、「本件取引において,譲渡に係る債権の回収リスクを原告のみが負っているということは困難というほかない」と判示して、債権の回収リスクを客のみが負っているという原告の主張を排斥した。
 なお、裁判所は、「もともと上記回収業務の委託は,原告が債権譲渡通知が被告から債務者にされることを希望しなかったことに配慮して合意されたものである」と認定して、「二者間」売掛債権早期資金化の形式を採っていることについても客にのみ譲渡に係る債権の回収リスクを負わせたとまでいうことは困難であるとし、また、基本契約の各規定を詳細に検討し、「上記各規定の内容は,いずれも本件個別契約に基づき譲渡された債権について,原告自身によるこれと矛盾する処分行為を禁止したり,本件債務者から抗弁をもって対抗された場合に備えたりするものと考えられ,上記各規定が,債権の譲渡人としての原告の法的責任をことさらに加重しているとか,被告に不必要なほどに広範な解除事由を定め,更に解除された場合の原告の義務を不必要に拡張するなどして被告が回収リスクを負わないように仕組んでいるということは困難」であるとも判示している。
⑸ 暴利行為に当たらないこと
 予備的請求に関しても、裁判所は、「本件個別契約における各譲渡代金額が,譲渡に係る債権額に比して著しく低額であるともいい難い」ことなどの認定をし、暴利行為であるという原告の主張を排斥した。 なお、裁判所は、「被告からの入金額をもってその前の本件個別契約に係る債権額の支払に充てられていたこともあり得ると考えられるけれども」という可能性も考慮しつつ、「本件債務者からの入金のうち譲渡された債権額を被告に振込をしたその日に被告からの振込がされていた」という認定もしている。


3 講評
 二者間売掛債権早期資金化の合法性については、公序良俗に反するか、という段階と、利息制限法により過払請求が認められるか、という段階と、2段階に分かれるところ、本件は、よりハードルが低いと考えられる後者について集中的に争われた事案でしたが、それでも裁判所は二者間売掛債権早期資金化が合法であることに軍配を上げました。
 その判断の根底にあるのは、上記2の⑵ないし⑷に挙げられている「ノンリコース型」の考え方です。つまり、貸金(金銭消費貸借)というためには、顧客がその責任財産をもって返済しているという事情が重要であるところ、買い取った債権の限りで回収している二者間売掛債権早期資金化では何を引当てにしているかという点において明らかに矛盾するのです。その際、本判例において争点となっている、「第三債務者」の信用状況の審査(同⑵)、「第三債務者」から振り込まれた金銭で支払いがされていたこと(同⑶)、「第三債務者」からの回収リスクを負っていること(同⑷)、という、顧客ではなくあくまで「第三債務者」の責任財産に目を向けていたことが評価のポイントとなりました。
 上記の「ノンリコース型」の考え方を重視する本判例も、これと同様の視点を持つ東京高等裁判所平成29年5月23日判決の流れを汲むものであり、二者間ファクタリグが利息制限法1条の「金銭を目的とする消費貸借」に当たらないことを明言した点でも重要な意義を有する判例となりました。